2002.10.12

【日本高血圧学会速報】 大規模コホート研究「JALS」がいよいよ始動、10万人を10年追跡

 久山町研究や大迫研究、端野・壮瞥町研究など、日本を代表する地域コホートと、職域コホートとを統合する大規模多施設共同コホート研究「JALS」(Japan Arteriosclerosis Longtidual Study)が、いよいよ動き出した。10月11日の一般口演で、JALS委員長を務める滋賀医科大学福祉保健医学教授の上島弘嗣氏が、現在までの進捗状況を報告。「日本を代表するコホート研究を実施する目途が立った」と力強く語った。

 JALSは、日本にある多くの優れたコホート研究を統合し、10万人規模の長期追跡データを収集、動脈硬化性疾患の発症要因を明らかにする目的で企画された多施設共同研究。日本動脈硬化予防研究基金から研究費提供(年間約1億円)を受け、昨年から活動を開始していた。

 既に歴史のある個々のコホート研究を統合するためには、収集するデータの標準化が不可欠。そこで上島氏らは、2日間のワークショップを開催し、JALSに参加する約50人の研究者間で、ベースラインとなるデータ収集の標準化や評価項目(エンドポイント)の設定などについて徹底的に討議した。ワークショップ開催後も、インターネット上に討議の場を設置。研究者個々の疑問に答えるため、研究説明会も数回開催した。

 その結果、研究の形態として、1.既存コホートの個人単位の成績を緩やかな標準化により統合する、2.標準化した方法で、これからコホート研究のデータを収集する−−との二つの方法を取ることが決定。これらのコホート研究には36施設が参加、地域コホートとして8万9640人、職域コホートとして2万5577人の、計11万5217人分のデータが統合される見通しが立った。

 ベースラインとして収集するデータは、血圧、血清総コレステロール値などの血液化学検査項目と、栄養摂取状況、運動状況など。血圧測定には自動血圧計による2回測定法を用い、総コレステロール値の標準化には大阪健康科学センターのデータを用いることが決まった。

 1次評価項目は脳卒中と心筋梗塞で、追跡期間は5〜10年。発症の定義は、基本的に世界保健機関(WHO)が実施中のコホート研究「MONICA」(MONitoring CArdiovascular disease)での定義に従うが、CT所見も含める。なお、総死亡についても、1980年代に上島氏らが実施した循環器疾患基礎調査である「『NIPPON DATA 80』で行ったように、総務庁の許可を得て原死因の確定を行う」(上島氏)予定だという。

 JALSでは今後1〜2年をかけて、各参加施設を通し、コホート対象者に研究の意義を説明し、参加への協力を要請する。この「インフォームド・コンセント」の過程がうまく進むかどうかが、まさに研究の成否の鍵を握ると言えそうだ。「地域、職域の方に意義をご理解いただく上でも、研究の成果を広く公表することが大切だと考えている」と上島氏は話している。


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