2002.10.03

【日本癌学会速報】 身長と大腸癌罹患率に相関、前向きコホート研究で確認

 岐阜県高山市で行われた住民対象の前向きコホート研究で、背が高い人ほど大腸癌の罹患率が高いことがわかった。動物実験では、成長期に栄養制限を加えると、身長が低くなると同時に発癌率も下がることが確認されており、海外の疫学研究でも関連を示唆する報告はあるが、日本で身長と大腸癌の関連性を調べた疫学研究は初めて。研究結果は、岐阜大学疫学予防医学の清水なつき氏らが、10月1日のポスターセッションで発表した。

 清水氏らは、1992年9月に高山市に住む35歳以上の住民3万6990人に対し、身長、体重や生活習慣、癌の既往などを尋ねる自記式のアンケートを実施。回答者3万4072人(回答率:92%)のうち、悪性黒色腫(メラノーマ)以外の皮膚癌を除く癌や大腸腺腫の既往者や、アンケートに身長の記載がなかった人などを除き、2000年12月まで8年間追跡した。

 解析対象者は男性1万3334人、女性1万5623人で、調査期間中に大腸癌に罹患したのは男性108人、女性97人。清水氏らは、男女別に身長で3群に分け、年齢や教育歴など身長と明らかに相関する因子(高齢の人ほど背が低く、低学歴の人が多い)や、発癌に影響を与え得る飲酒・喫煙歴、体格指数(BMI)で補正して、大腸癌罹患率と身長との関連を調べた。

 その結果、男性では最も身長の低い群(162cm以下、4842人)の大腸癌罹患率を1とした場合、中身長群(163〜167cm、3908人)では1.75(95%信頼区間:1.07〜2.85)、高身長群(168cm以上、4584人)では2.13(同:1.27〜3.58)と、身長と大腸癌罹患率に有意な相関があることが判明(傾向に対するp=0.02)。女性でも同様に、低身長群(150cm以下、6377人)の大腸癌罹患率を1とした場合、中身長群(151〜154cm、3633人)では1.50(同:0.84〜2.70)、高身長群(155cm以上、5613人)では1.54(同:0.86〜2.77)となり、群間の差は有意ではないものの背が高くなるほど大腸癌罹患率が高い傾向が認められた(傾向に対するp=0.06)。

 なお、大腸癌への罹患の有無は、高山市内の2病院の受診記録から調べたが、「高山市の住民の9割はこの2病院を受診しており、例えば『背の低い人ほど市外の病院を受診する』といった傾向は認められないと考えられる」と清水氏は話す。

 「背が高い人ほど大腸癌が多い」理由には、幼少期からの高脂肪食との関連を示唆する説から、高身長の人ほど腸が長く発癌機会が増えるとの説まで様々あるが、確定的なものはない。また、今回の研究では、男性より女性で身長との相関が弱かったが、この点について清水氏は「女性では、例えば体重をちょっと軽めに書くなどの“うそつきバイアス”がかかったのではないか」と考察している。

 いずれにせよ、特に男性の場合、高身長の人では低身長の人の2倍、大腸癌に罹患しやすいとの結果は重視すべき。好発年齢にさしかかったら、背の高い人は定期的に大腸内視鏡検査を受けるなどの自衛手段を講じた方が良いかもしれない。

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