2002.09.27

シロリムス溶出ステントの長期成績が発表、2年間の追跡でも新生内膜肥厚はほぼみられず

 短期的には高い再狭窄・心イベント発生抑制効果が認められている、薬剤溶出ステントの長期成績が、Circulation誌9月24日号で発表された。免疫抑制薬のシロリムス(ラパマイシン)溶出ステントを用いた「FIM」(First in Men clinical trial)試験の追跡結果で、シロリムス(ラパマイシン)溶出ステントの2年成績が発表されるのは初めて。ステント留置6カ月後から2年後までに新たな心イベントは起こらず、定量的血管造影(QCA)や血管内超音波(IVUS)を用いた評価でも、新生内膜肥厚はほとんど認められなかったという。

 この試験で用いたステントは、「RAVEL」(Randomized Study with the Sirolimus-Coated Bx Velocity Balloon-Expandable Stent in the Treatment of Patients with de Novo Native Coronary Artery Lesions)試験(関連トピックス参照)で用いられたものと同じ、米国Cordis社の「Bx Velocity」ステントにシロリムスを被覆したもの。「RAVEL」試験では画期的な成績が得られていたが、ブタを用いた検討では90〜180日後に新生内膜肥厚が現れるとの報告もあり、長期的な成績に関しては疑念も持たれていた。

 「FIM」試験の対象は、新規(de novo)の狭窄で狭窄率が72±8%、狭窄範囲が15mm未満と短い患者15人。20カ月間追跡できたのは10人だが、6カ月目以降は新規心イベントは起こらなかった。標的血管への再インターベンション(TVR)は二人に必要だったが、標的領域への再インターベンション(TLR)を要した人はいなかった。

 また、QCAによる評価では、ステント内血管内径および標的領域やステント内の狭窄率に、6カ月後と20カ月後とで有意な差は認められなかった。IVUSで評価した容量閉塞率(ステントの容量に対する過形成の容量の比率)は、6カ月後の1.1±1.2%と比べ、20か月後には4.4±3.1%と有意に増加したが、他の臨床試験で報告されているベアステントでの容量閉塞率(6カ月後で25〜36%)と比較するとごく軽微だった。

 研究グループは、ブタでみられた遅延新生内膜肥厚が、ヒトではほぼ認められなかったと結論、「インターベンション領域で初めて、人間での成績が動物モデルを上回った」と評価した。ただし、「FIM」試験は症例数が少なく、対照群(ベアステント留置群)も設けられていない点には留意すべき。今回得られたデータは、遅延新生内膜肥厚への懸念を払拭する材料ではあるが、より確実な評価材料として、より大規模で、対照群との直接比較が可能な試験の長期成績が待たれる。

 この論文のタイトルは、「Persistent Inhibition of Neointimal Hyperplasia After Sirolimus-Eluting Stent Implantation :Long-Term (Up to 2 Years) Clinical, Angiographic, and Intravascular Ultrasound Follow-Up」。アブストラクトは、こちらまで。

■ 関連トピックス ■
◆ 2002.6.17 PCI後の再狭窄問題に決着か、シロリムス被覆ステントの無作為化試験成績の詳細が公表

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