2002.09.19

NCIが肺癌検診の大規模臨床試験「NLST」をスタート、被験者として喫煙経験者5万人を募集

 米国国立癌研究所(NCI)は9月18日、2種類のスクリーニング手法による肺癌死亡率減少効果を比較する大規模臨床試験、「NLST」(National Lung Screening Trial)を開始すると発表した。比較するスクリーニング手法は、らせんCTと胸部X線撮影。被験者として、全米から5万人の喫煙経験者を募集している。

 「NLST」試験では、被験者を無作為に2群に分け、最初の3年間に年1回らせんCTまたは胸部X線撮影を受けてもらる。肺癌が見付かった場合は適切な治療を施し、2009年まで追跡して肺癌による死亡率を比較する。なお、被験者が禁煙を希望する場合、適切な禁煙プログラムを紹介する。

 胸部X線撮影で発見できる肺癌のサイズは直径1〜2cm。一方のらせんCTでは、直径1cmとより小さい、つまりより早期の肺癌が発見できるとされるが、その分被曝量も大きくなる。いずれの手法でも、早期発見が生命予後の改善につながることを示した無作為化介入試験結果はまだ得られておらず、この問題に決着を付ける初の大規模試験として大きな注目を集めそうだ。

 臨床試験への参加条件は、1.55〜74歳の喫煙者または元喫煙者、2.肺癌に罹患したことがなく、その他の癌(一部の皮膚癌などを除く)にも過去5年間罹患していない、3.他の癌検診試験や癌予防試験に参加していない、4.胸部のCT撮影を過去18カ月間受けていない−−の四つ。試験の詳細は、NCIホームページの「National Lung Screening Trial」で公開されている。

 なお、厚生労働省のがん検診評価委員会が昨年12月にとりまとめた「新たながん検診手法の有効性の評価」では(関連トピックス参照)、胸部X線を用いた肺癌検診(高危険群には喀痰細胞診を併用)の評価が日本と欧米で異なっている。日本では、コホート研究と症例対照研究に基づき「1-b」(検診による死亡率減少効果があるとする、相応の根拠がある)とし、欧米では無作為割り付け比較対照試験に基づいて、「1-c」(検診による死亡率減少効果がないとする、相応の根拠がある)との位置付けだ。

 一方のらせんCTを用いた肺癌検診(高危険群には喀痰細胞診を併用)については、「2群」(検診による死亡率減少効果を判定する適切な根拠となる研究や報告が、現時点で見られないもの)との評価になっている。

 この件に関するNCIのニュース・リリースは、こちらまで。

■ 関連トピックス ■
◆ 2001.12.21 続報】ガン検診の有効性を死亡率減少効果の有無で判定

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