2002.09.10

マンモグラフィー検査は40歳代女性の乳癌死亡率を減らすか? カナダの長期追跡試験「CNBCSS-1」の最新結果が発表

 有益性を巡る議論が尽きない乳癌のスクリーニング検査に、また新たな知見が加わった。カナダで1980年からスタートした無作為化介入試験、「CNBCSS-1」試験(Canadian National Breast Cancer Screening Study-1)の最新結果が、Annals of Internal Medicine誌9月3日号に掲載された。

 今回発表されたのは、割り付けから11〜16年後の乳癌死亡率の比較。結果は前回(割り付けから7〜10年後)と同様、両群に違いが認められず、「マンモグラフィーによる乳癌死減少効果」を支持するものとはならなかった。

 CNBCSS-1試験は、40歳代の健康な女性約5万人を対象とした、この種の研究では最大規模のもの。試験登録から5年間、毎年乳房X線撮影(マンモグラフィー)を受ける群と、医師が必要と判断とした時のみ受ける群とに無作為に分け、乳癌による死亡率を比較した。両群とも乳房の自己触診法を指導されている。

 11〜16年後に乳癌で死亡したのは、マンモグラフィー群(2万5214人)が105人、通常管理群(2万5216人)が108人。統計学的な有意差はなく、乳癌の悪性度(局在性か浸潤性か)にも違いは認められなかった。なお、乳癌の診断率はマンモグラフィー群で有意に多かった。

 ただし、論争の激しい分野であることを考慮してか、研究グループは「今回の結果からは、マンモグラフィーに40歳代女性の死亡率を減らす効果がないとは結論付けられない」と釘を刺す。両群とも死亡率(イベント数)が極めて低いため、死亡率の減少効果が相対的に20%未満の場合、この試験では検出できないのだ。

 素直に読み取れば、仮にマンモグラフィーに40歳代女性の乳癌死を減らす効果があったとしても、相対的に20%に満たないということになろう。しかし、「英国で現在進行中の、40〜41歳の女性を対象とした介入試験の結果が出るまでは、マンモグラフィーの有益性についての結論は出ない」と研究グループは強調している。

 なお、厚生労働省のがん検診評価委員会が昨年12月にとりまとめた「新たながん検診手法の有効性の評価」では(関連トピックス参照)、マンモグラフィーを用いた乳癌のスクリーニング検査(視触診と併用)を、対象者が50歳以上の場合は「1-a」(検診による死亡率減少効果があるとする、十分な根拠がある)、40歳代の場合は「1-b」(検診による死亡率減少効果があるとする、相応の根拠がある)と位置付けている。

 また、米国厚生省の下部組織であるAgency for Healthcare Research and Quality (AHRQ:医療分野の研究と質向上を支援する部門)も今年2月、乳癌検診に関するガイドラインを改訂(関連トピックス参照)。マンモグラフィーを用いた乳癌検診の推奨対象を、従来の50〜69歳から、40歳代以上の全年齢層へと拡大している。

 この論文のタイトルは、「The Canadian National Breast Screening Study-1: Breast Cancer Mortality after 11 to 16 Years of Follow-up」。現在、全文をこちらで閲読できる(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。米国のガイドラインに関しては、AHRQホームページの「Screening for Breast Cancer」から全文と根拠となったエビデンスなどが入手できる。

■ 関連トピックス ■
◆ 2001.12.21 続報】ガン検診の有効性を死亡率減少効果の有無で判定
◆ 2002.2.25 米国厚生省、40歳以上のマンモグラフィによる乳癌検診を推奨

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