2002.08.30

末梢静脈カテーテル、患者の手を暖めると挿入成功率が上昇

 末梢静脈カテーテルを患者の手背に挿入する際、あらかじめ患者の手を暖めておくと、挿入に要する時間が短くなり、1回で成功する確率も有意に高くなることがわかった。「手を温めると静脈が浮く」ことは経験的に知られているが、無作為化試験で確認されたのは初めて。研究結果は、British Medical Journal(BMJ)誌8月24日号に掲載された。

 研究グループが用いたのは、手首までをすっぽり覆う形のドイツ製の電気ミトン。スイッチを入れると52度まで温度が上昇し、15分間暖めると手の皮膚表面の温度は40度にまで上がる。研究グループは、脳神経外科の入院患者100人と、白血病で化学療法を受けている患者40人に協力してもらい、クロスオーバー形式で2日に渡って試験を行った。患者の平均年齢は、脳神経外科の入院患者が53歳、白血病の患者が63歳だった。

 患者の半数は、初日はミトンのスイッチをオンにして、手を10〜15分間温めた後に18ゲージの太いカテーテルを挿入する。二日目は同じようにミトンに手は入れるものの、スイッチをオフにした状態で10〜15分間過ごし、その後にカテーテル挿入を受けた。残りの半数の患者は、初日にスイッチをオフ、二日目にオンにした。

 その結果、脳神経外科の入院患者では、カテーテル挿入に要した時間(36秒対62秒)、1回目で失敗した確率(3%対28%)のいずれで評価しても、手を暖めた時の方が手技がうまくいくことが判明。白血病の患者でも同様に、挿入時間(8秒対32秒)と初回失敗率(6%対30%)のいずれも、手を温めた患者で優れていた。

 以上から研究グループは、15分間手を暖めるという簡単な手技で挿入に要する時間が短縮でき、医療者と患者の双方で負担が減るだけではなく、失敗も減るのでカテーテルの費用など医療費という側面でも利点があると結論付けた。

 ただし、末梢静脈へのカテーテルや注射針の挿入で、看護師などが難渋することが多いのは、静脈の細い乳幼児や静脈が浮きにくい肥満者、全身状態の悪い末期の患者が中心。今回の試験対象者にはそうした患者が含まれておらず、BMJ誌には、「挿入に苦労する患者を対象とした試験を行うべき」との意見も寄せられている。

 この論文のタイトルは、「Local warming and insertion of peripheral venous cannulas: single blinded prospective randomised controlled trial and single blinded randomised crossover trial」。現在、こちらで全文と読者からの意見が閲読できる(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。

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