2002.08.30

IGTのある日系米国人、食事と運動療法で内臓肥満が改善

 米国ワシントン州Seattle在住の日系アメリカ人を対象とした介入試験で、耐糖能異常(IGT)はあるが「肥満」はごく軽度な日系人でも、食事療法と運動療法とで内臓肥満を減らせることが明らかになった。このデータは、「肥満ではないのにIGT者が多い」日本人にも大いに参考になりそうだ。研究結果は、Diabetes Care誌9月号に掲載された。

 IGTは、“前糖尿病状態”とも呼ばれる糖代謝の軽度異常。日本人は米国在住の白人よりも、肥満度は低いのにIGTになりやすいことが知られている。特に日系米国人は、日本に住む日本人よりもIGT者が多く、わずかではあるが肥満度も高い。これは食生活の欧米化と日常活動性の低下が原因だとみられている。

 そこで、米国Washington大学代謝・内分泌・栄養学部門のDavid Liao氏らは、日系米国人を対象とした介入試験を実施。IGTのある中年男女64人を無作為に2群に分け、24カ月追跡して介入群と対照群とで体格指数(BMI)やCTで評価した内臓肥満がどの程度変わるかを調べた。対象者の平均年齢は54歳で女性は2割弱、平均BMIは26だった。

 介入群には、食事療法として米国心臓協会(AHA)の「ステップ2ダイエット」(1日摂取カロリーの55%を炭水化物から取り、脂肪は30%未満、うち飽和脂肪酸からは7%未満とし、コレステロールを200mg未満とする)を処方。運動療法として、ウォーキングやジョギングなどの耐久系運動を週3回1時間ずつ、心拍数が平時より70%上昇する強度で行ってもらった。

 一方の対照群には、食事療法としてAHAの「ステップ1ダイエット」(1日摂取カロリーの50%を炭水化物、30%を脂肪から取り、飽和脂肪酸からは10%未満とし、コレステロールを300mg未満とする)を処方。週3回1時間ずつストレッチを中心とした運動を行ってもらった。

 試験を完遂した58人について、6カ月後のBMIや内臓脂肪を比較すると、両群とも減少が認められたものの減少度は介入群の方が大きいことが判明。介入群では特に、腹部の内臓脂肪や太ももの脂肪が落ちていることがわかった。糖負荷試験の2時間値が24カ月の追跡期間中、1度でも正常に戻った人の比率も、介入群(64%)の方が対照群(30%)よりも有意に多かった。

 なお、追跡期間中に糖尿病を発症した人は、介入群で一人、対照群で二人。この試験は2型糖尿病の予防効果を調べるようには設計されてはいないが、研究グループはDPP試験やフィンランド糖尿病予防研究などで、生活習慣への介入により2型糖尿病の発症予防が可能であることが示されたことを挙げ(関連トピックス参照)、「IGTのある日系米国人でも、食事療法と運動療法で、2型糖尿病の発症を遅延・予防できる可能性がある」とまとめている。

 この論文のタイトルは、「Improvement of BMI, Body Composition, and Body Fat Distribution With Lifestyle Modification in Japanese Americans With Impaired Glucose Tolerance」。アブストラクトは、こちらまで。

■ 関連トピックス ■
◆ 2002.4.5 「2型糖尿病の予防は生活習慣の改善から」、ADAとNIHが共同声明

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