2002.08.28

アメリカの観光農場でO157感染症が集団発生、家畜から人に直接感染

 家畜との「触れ合い」をうたった米国の観光農場で、2000年9月から11月にかけて起こった病原性大腸菌O157の集団感染について、米国疾病対策センター(CDC)がこのほど詳細な調査結果をまとめた。農場で飼われていた牛216頭のうち28頭(13%)が、O157のH7株(O157:H7)を保菌しており、家畜から人に直接感染したと考えられるという。

 O157は牛や山羊などの腸管内に常在しており、動物に対する毒性はないが、人が感染すると下痢などの食中毒症状を起こす。米国では加熱が不十分なハンバーガーによる集団感染事例が有名で、肉を食べることで感染する“burger bug”として知られてきたが、「従来はめったに起こらないと考えられていた“直接感染”が、実はかなり高い頻度で起こっている可能性がある」と研究グループは注意を促している。調査結果は、New England Journal of Medicine(NEJM)誌8月22日号に掲載された。

 O157:H7に感染、または感染が疑われた観光客は総計51人。多くが幼児で中央値は4歳、うち女性が半数を占めた。主な症状は血便や熱、嘔吐で、16人(31%)が入院した。重篤な合併症である溶血性尿毒症症候群(HUS)は8人(16%)に生じ、全員が10歳以下の子供。うち一人は末期腎不全を起こし腎移植を受けた。この集団感染で死亡した患者はおらず、農場の従業員で感染した人もいなかった。

 観光客のうち、感染した人としなかった人とを比較すると、「家畜に触った」人では感染率が高いことが判明。一方、「後で手を洗った」人では感染率が低かった。農場で飼われていた牛のO157:H7保菌率は13%で、一般に考えられている保菌率(0.5〜2%)より明らかに高かった。菌株も患者に感染したものと一致した。

 以上から研究グループは、「今回の集団感染は、家畜の皮膚などに触れたことが原因となった」と結論。特に小児では感染率が高いため、観光農場を訪れた後は、必ず手を洗うことが大切だとしている。

 この論文のタイトルは、「An Outbreak of Escherichia coli O157:H7 Infections among Visitors to a Dairy Farm」。アブストラクトは、こちらまで。

■ 参考トピックス ■
◆ 2002.5.15 オウム病◇テーマパークで初の集団感染、全国の類似施設に警鐘鳴らす−−日経メディカル5月号

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