2002.08.23

リファンピシン誘導体、空洞のない肺結核なら「週1回投与」で十分な治療効果

 肺結核の6カ月の初期治療で、後半の4カ月の治療においては、症例により治療薬の「週1回投与」が可能になることがわかった。米国疾病対策センター(CDC)の結核臨床試験コンソーシアム(TBTC)が実施した比較試験による。研究結果は、Lancet誌8月17日号に掲載された。

 肺結核の初期治療では、まず最初の2カ月にリファンピシン(RFP)、イソジアニド(INH)、ピラジアニド(PZA)にストレプトマイシン(SM)または塩酸エタンブトール(EB)を併用する「4剤併用療法」を行い、引き続き4カ月間、RFPとINHの2剤を服用する治療戦略が、最も治療効果が高いと考えられている(関連トピックス参照)。

 米国では、患者が確実に服薬したことを確認する「対面服薬療法」(DOT)の下、前半の2カ月は連日、後半の4カ月においては週2回の服薬を原則としている。RFPの誘導体であるリファペンチンは血中半減期が長く、投与回数を減らせる可能性が示唆されていたが、明確なデータは得られていなかった。

 そこでTBTCは、肺結核患者約1000人を2群に分け、全員に2カ月の4剤併用投与を行った後、一方にRFP600mgとINH900mgの2剤を週2回、4カ月間投与。もう一群には、リファペンチン600mgとINH900mgの2剤を週1回、4カ月間投与して、治療の成功率を比較した。

 対象患者の平均年齢は45歳で、うち男性は4分の3。対象患者の選定においては、人種構成や居住地不定者(ホームレス)、薬物依存症者、アルコール依存症者の比率なども含め、米国における現実の結核患者の構成を反映するようにした。なお、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の罹患者は、病態が非罹患者とは異なるため、試験対象からは除いた。

 研究グループは、治療期間中に排菌があった場合を「治療の失敗」、治療期間終了後、1年8カ月追跡している間に排菌があった場合を「結核の再燃」と定義。治療の失敗及び再燃の発生率について両群を比較したところ、リファペンチン+INHの週1回投与では9.2%、RFP+INHの週2回投与では5.6%と、前者の方が高くなった。

 ただし、患者背景から、肺に空洞がある場合や体重減少が著しい場合、肺の両側に感染がある場合などは、治療の失敗・再燃の確率が高いことが判明。そうした点で補正すると、両群の治療成功率はほぼ同レベルとなった。特に、肺に空洞がない結核患者では、リファペンチン+INHの週1回投与における治療の失敗・再燃率は2.9%、RFP+INHの週2回投与では2.5%と、ほぼ問題なく週1回投与で従来治療を代替できることがわかった。

 以上から研究グループは、HIVに感染しておらず、肺に空洞がない結核患者なら、DOTの下で後半の4カ月の治療としてRFP+INHの週2回投与の代わりにリファペンチン+INHの週1回投与を行えると結論。併せて、肺の空洞や体重減少などの患者背景を吟味し、治療が不成功に終わりやすい患者をあらかじめ同定することの重要性も強調している。

 この論文のタイトルは、「Rifapentine and isoniazid once a week versus rifampicin and isoniazid twice a week for treatment of drug-susceptible pulmonary tuberculosis in HIV-negative patients: a randomised clinical trial」。現在、全文をこちらで閲読できる(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。

■ 関連トピックス ■
◆ 2002.7.24 日本結核病学会が「結核医療の基準」見直し案をHPで公開、4剤併用療法を初回治療の基本に

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