2002.08.22

イチョウ葉エキスに健常高齢者のボケ予防効果なし

 心身ともに健康な高齢者を対象とした二重盲検試験で、イチョウ葉エキスの認知機能改善効果は、実はプラセボ並みに過ぎないことがわかった。健康な人が、「ボケを防ぐ」ことを期待してイチョウ葉エキスを飲んでも、あまり意味はなさそうだ。研究結果は、Journal of American Medical Association(JAMA)誌8月21日号に掲載された。

 イチョウ葉エキスは、ドイツでは医薬品、日本や米国では健康食品として販売されている成分。血管性痴呆やアルツハイマー病の人を対象としたプラセボ対照試験で、少なくとも4週間毎日服用すれば、痴呆の進行がわずかに遅くなることが確かめられている。

 しかし、認知機能が正常範囲の人を対象とした試験は不十分で、痴呆の「発症」を防ぐ(遅くする)効果があるかどうかはわかっていない。それにも関わらず、米国では健常者の痴呆発症を防ぐかのような宣伝がなされており、そうした効果を期待して服用する人も少なくなかった。

 そこで、米国Williams大学心理学部のPaul R. Solomon氏らは、新聞広告を出して「心身ともに健康で痴呆ではない60歳以上の男女ボランティア」を募集。応募してきた男性98人、女性132人を無作為に2群に分け、プラセボまたはイチョウ葉エキス(40mg1日3回)を6週間服用してもらった。

 試験協力者の平均年齢は69歳で、4割が男性。知能検査の一種であるミニ・メンタル・ステート検査(MMSE検査、30点満点で26点以上は正常範囲)の平均点は28.8点だった。研究グループは、服用期間の前後でWAIS-R試験やWMS-R試験など、記憶力や注意力といった認知機能を評価する試験を受けてもらい、14項目について服用前後のスコアを比較した。

 その結果、イチョウ葉エキスを服用した人だけでなく、プラセボを服用した人でも、ほとんどの項目で服用後にスコアが上昇。この上昇幅は、実薬とプラセボとの間で、統計学的にも臨床的にも意味のある差とはならなかった。友人や家族による客観的な評価でも、2群の間に差は認められなかった。

 研究グループは、今回の試験結果と対比する形で、先に行われた痴呆患者に対するプラセボ対照試験の結果の解釈を批判。ごく弱いエビデンスしかないにも関わらず、ドイツでは毎年500万枚の処方箋が出され、米国でも1997年実績で240万ドル(日本円で約2億8000万円)を売り上げていることを指摘し、安易な服用に警鐘を鳴らしている。

 この論文のタイトルは、「Ginkgo for Memory Enhancement」。現在、全文をこちらで閲読できる(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。

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