2002.08.07

幼児のアトピー性疾患、「防ダニ」シーツでは防げないことが判明

 「アトピーグッズ」として人気の商品の一つに、アレルゲンとなるダニやハウスダスト(ほこり)を通さない素材の寝具がある。アレルゲンから寝ている間も身を守ることで、アトピー性皮膚炎や喘息などのアトピー性疾患が軽快する効果があるという。しかし、少なくとも発症予防という観点では、赤ちゃんの時からこうした寝具を使っても、2歳までにアトピー性疾患を発症するリスクは変わらないことがわかった。研究結果は、American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine誌8月1日号に掲載された。

 この「PIAMA」研究(Prevention and Incidence of Asthma and Mite Allergy)の特徴は、プラセボ群を設けている点。「特別な寝具を使っている」ことで、掃除が行き届く、頻繁にシーツを交換するといった“波及効果”が起こり、それだけで結果が改善され得るためだ。そこで研究グループは、外観はそっくりだが、ダニやハウスダストの透過を防ぐ効果が特にないシーツ(マットレスカバー)を用意し、プラセボ群に割り付けた家庭で使ってもらった。

 対象は、喘息や皮膚炎などのアトピー性疾患素因を持つ妊婦1282人。うち6割にはダニやハウスダストに対するアレルギーがある。研究グループは、対象者を無作為に3群に分け、防ダニ群(416人)にはダニやハウスダストを透過しないシーツ、プラセボ群(394人)には普通のシーツ(プラセボ)を配布。残りの無介入群(472人)は特に何も配らず経過観察の対象とした。

 防ダニ群とプラセボ群に割り付けられた妊婦は、妊娠第3期から、夫婦の寝室に配布されたシーツを使用。子供が生まれた後は、子供のベッドにも指定のシーツを使用した。無介入群も含め、研究に参加した全ての家庭では、子供の咳や鼻水の頻度など、アトピー性疾患の発症を疑わせる症状を定期的に報告した。

 結果は期待に反するものだった。プラセボ群と防ダニ群とで唯一差があったのは、子供が1歳の1年間における夜間の咳だけ。喘鳴、鼻水(風邪の時を除く)などの呼吸器症状、アトピー性皮膚炎などその他の指標では、子供が0歳の1年間、1歳の1年間のいずれも、全く差は認められなかった。総免疫グロブリンE(IgE)値、ダニ特異的IgE値にも差はなかった。

 さらに無介入群でも、予想に反し、こうした症状に関してはプラセボ群との差が認められなかった。つまり、子供のアトピー性疾患を防ぐという意味では、「シーツに配慮する」という行為に“波及効果”すら認められないとの結果になった。

 今回得られたデータは、「乳幼児期にアレルゲンへの曝露を抑えれば、アトピー性疾患の発症を予防できる」との仮説を否定するものではない。また、既にアトピー性疾患にかかっている人が、こうした寝具を使う意味がないことを示すものでもない。しかし、少なくとも防ダニシーツに関しては、アトピー性疾患の発症予防効果を期待しない方がよさそうだ。

 この論文のタイトルは、「Placebo-controlled Trial of House Dust Mite?impermeable Mattress Covers」。アブストラクトは、こちらまで。


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