2002.07.30

JCOG、限局型小細胞肺癌に対する放射線化学療法の第3相臨床試験結果を発表

 日本臨床腫瘍研究グループ(Japan Clinical Oncology Group:JCOG)が実施した限局型小細胞肺癌(LD-SCLC)を対象とした第3相臨床試験(JCOG9104)の最終報告がまとまり、Journal of Clinical Oncology(JCO)誌7月15日号に掲載された。LD-SCLCに対する放射線化学療法において胸部放射線照射は、化学療法と同時に行う方のが、より高い治療効果を得られることが明らかになった。

 近年、LD-SCLCに対しては、シスプラチンとエトポシドとの併用による従来の化学療法に胸部放射線治療を加えるという放射線化学療法が注目されてきた。胸部放射線を併用することで患者の生存期間が有意に改善されると報告されていたが、放射線治療のタイミング、すなわち、胸部放射線照射は化学療法と同時に行うか、あるいは化学療法終了後に実施するかに関しては、一定のコンセンサスがなかった。今回の臨床試験の結果は、今後LD-SCLCの治療に大きな影響を与えそうだ。

 臨床試験の対象となったのは、日本各地計15施設で受診した231人 LD-SCLC患者。患者の平均年齢は65歳で、臨床病期は2から3B。全身状態を反映するパフォーマンス・ステータス(PS)は0から2だったが、PS=2の患者は5%程度だった。

 これらの患者を「同時併用群」と「逐次併用群」に割付け、「同時併用群」には、化学治療開始後2目から放射線照射を開始させ、「逐次併用群」には、化学療法終了後に放射線照射を行った。両群ともに4コースの化学治療を受けたが、「同時併用」では、4週間を1コースとし、「逐次併用群」においては3週間を1コースとした。シスプラチンとエトポシドの投与量は、それぞれ体表面積1m2当たり80mgと100mgで、放射線治療は、1回1.5Gy、1日2回照射、総線量45Gyだった。

 その結果、「同時併用群」と「逐次併用群」は、それぞれの治療奏効率は97%(CR:40%、PR:57%)と92%(CR:27%、PR:65%)であり、生存期間の中央値は27.2カ月と19.7カ月だった。「同時併用群」の2年、3年、5年生存率は、それぞれ54.4%、29.8%、23.7%で、「逐次併用群」の方は35.1%、20.2%、18.3%だった。「同時併用群」患者の生存率は、「逐次併用群」患者より高い傾向を示したが、統計学的有意差が認められなかった。しかし、患者の年齢や臨床病期、PSなどの因子のバイアスを補正すると、「同時併用群」患者の相対死亡リスクは、「逐次併用群」の0.7(95%CI、0.5から0.94、P=0.02)となることが分かった。

 有害事象については、「同時併用群」患者において、白血球減少などの骨髄抑制が多く見られ、食道炎の発生率もやや高かった(9%と4%)。

 小細胞肺癌は、他の肺癌と比較して腫瘍の増殖が速く、早い時期から遠隔転移がみられるという特徴がある。研究グループは、「放射線治療を早期に導入することにより、患者の脳転移などの致命的な遠隔転移が抑えられるではないか」と指摘。「副作用がやや増強する可能性があるものの、放射線照射と化学療法を同時に行う方の治療効果が優れている」と結論付けている。

 この論文のタイトルは、「Phase III Study of Concurrent Versus Sequential Thoracic Radiotherapy in Combination With Cisplatin and Etoposide for Limited-Stage Small-Cell Lung Cancer: Results of the Japan Clinical Oncology Group Study9104」。アブストラクトは、こちらまで。(張辛茹、医療
ジャーナリスト)

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