2002.07.28

【日本骨代謝学会速報】 危険因子数で骨折リスクを評価、骨粗鬆症の「リスクに応じた治療薬選択」が提言

 7月27日に行われたシンポジウム2「骨粗鬆症治療の新しい展開」では、成人病診療研究所の白木正孝氏が、骨折の新規発症に関与する四つの危険因子を提示。骨粗鬆症治療においても、「まず骨折のリスクを評価し、リスクに応じた治療を行う」という、理にかなった戦略を取り入れる必要があると訴えた。

 白木氏が提示したのは、518人の骨粗鬆症患者を対象に行った、脊椎新規骨折発生にかかわる主要危険因子の検討結果。この分析からは、1.年齢、2.腰椎骨密度の基礎値、3.骨吸収マーカーの尿中総デオキシピリジノリン(DPD)値、4.骨折の既往−−の四つが、独立した危険因子であることが浮かび上がった。

 危険因子が一つもない骨粗鬆症患者では、年間の骨折率は10%未満。ところが、危険因子が1〜2個ある場合、年間骨折率は約40%になり、3〜4個あると50%を上回る。危険因子数で評価すれば、循環器など疾患領域によってはもはや常識とも言える「リスクの層別化」が、骨粗鬆症においても可能になるわけだ。

 しかし、実際の臨床現場では、こうした「リスク評価に基づく治療」はおろか、「骨折予防を目的とした治療」が行われているとも言い難い。白木氏らが臨床医約1000人を対象に行った、骨粗鬆症治療に関するアンケート(回収率は約50%)によると、最もよく使われている骨粗鬆症治療薬は活性型ビタミンD3だった。活性型ビタミンD3は、医師の約9割に使用経験がある。次がカルシトニンの約7割で、骨折予防のエビデンスがあるビスフォスフォネート製剤(ビス製剤)は約6割、ビタミンK2は4割強と、使用頻度としては少なくなった。

 また、7割近い医師が2剤併用療法を実施していたが、その場合の主剤は、活性型ビタミンD3やカルシトニンがビタミンK2やビス製剤を上回った。薬剤選択においては、「骨折予防」というエビデンスがあまり重視されていないことの傍証だ。

 以上から白木氏は、「新規骨折の予防のために私達が最も行わなければならないのは、リスクの評価とその管理」と強調。まず患者の危険因子から骨折リスクを評価し、骨折リスクが高い患者には「骨量を増やす、あるいは骨吸収を抑制する効果が高い、アレンドロン酸ナトリウム(商品名:フォサマック、ボナロン)やリセドロン酸ナトリウム(商品名:アクトネル、ベネット)などのアミノ・ビスフォスフォネート(アミノ酸残基を持つビス製剤)を第一選択薬とすべき」と述べた。

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