2002.07.25

【日本骨代謝学会速報】 ビタミンK2に骨形成作用も、不動性骨粗鬆症のモデル動物で確認

 寝たきり状態など「動かないこと」により起こる骨粗鬆症(不動性骨粗鬆症)の治療に、ビタミンK2が役立つ可能性が出てきた。疾患モデルラットを用いた実験で、骨量が減った段階からビタミンK2を食べさせても、骨量が増加することがわかったため。ビタミンK2の作用として既に知られていた、骨吸収の抑制作用に加え、骨形成の促進作用も確認できたという。研究結果は、7月25日の一般口演「骨粗鬆症(基礎)1」で、東京逓信病院の岩崎香子氏らが報告した。

 重力や運動などによる負荷は、骨量の維持に欠かせない要素の一つ。無重力(微小重力)状態で過ごす宇宙飛行士や寝たきり状態になった人では、骨吸収が急速に進む一方、骨形成が低下して、骨量が急激に失われることが知られている。岩崎氏らは既に、こうした状態のモデル動物としてラットを微小重力下で過ごさせたり、坐骨神経を切断して動かなくしたラットを作製。ビタミンK2を摂食させると、骨粗鬆症を予防できることを確認している。

 ただし、ビタミンK2の主作用は骨石灰化の促進や骨吸収の抑制、つまり骨量の減少を抑える効果だと考えられており、骨量を直接増やす骨形成効果はほとんどないとされる。しかし、不動性の骨粗鬆症になった人でも、ビタミンK2で骨量が増えたとの臨床報告があり、「既に骨量が減った」段階からビタミンK2を投与すると骨形成を促進し得る可能性が示唆されていた。

 そこで岩崎氏らは、13週令のSD系雄ラットの坐骨神経を切除して、不動性骨粗鬆症のモデル動物を作製。偽手術を受けた対照ラットより13%骨量が減少した3週後から、体重1kg当たり1日10mgまたは30mgの天然型ビタミンK2(メナキノン4=MK-4)を餌に混ぜて4週間食べさせ、骨量や骨吸収・骨形成パラメーターを比較した。

 その結果、MK-4入り餌を食べたモデルラットでは、大腿骨遠位端の骨密度で評価した骨量の増加率が対照ラットとほぼ同程度にまで回復。一方の餌にMK-4を混ぜなかったモデルラットでは、ほぼ一定のスピードで骨量が減りつづけた。骨吸収のパラメーターは、MK-4摂取群でほぼ正常レベルにまで改善し、骨形成のパラメーターも有意な改善を認めた。

 以上から岩崎氏らは「不動性骨粗鬆症のモデル動物では、既に骨量が減った段階からMK-4の投与を開始しても、骨量を増加できる」と結論。高齢化率の上昇に伴い今後増加が予想される、寝たきり老人などの不動性骨粗鬆症の治療・予防に、ビタミンK2製剤が有効である可能性が示唆されたとまとめた。

 発表後の質疑応答では、フロアから「今後は投与量の削減という大きな課題が残るのでは」との指摘があった。疾患モデル動物に用いた投与量を、体重60kgの成人に換算すると、1日量は600〜1800mg。現在、骨粗鬆症の治療に用いられているビタミンK2製剤の投与量(メナテトレノンで1日45mg)と比べ大幅に多い。実用化に向けては、吸収効率を高めたり、骨特異的に作用させるドラッグ・デリバリー・システム(DDS)の開発も必要となりそうだ。

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