2002.07.24

日本結核病学会が「結核医療の基準」見直し案をHPで公開、4剤併用療法を初回治療の基本に

 日本結核病学会は7月18日、同学会治療委員会が6月にとりまとめた「結核医療の基準」見直し案を、学会ホームページ上で公開した。安全で確実な結核治療を通して多剤耐性結核の発生を抑制するために、現行基準のうち主に初回治療患者の治療内容について、新たな抗結核薬区分に基づく標準的治療法を提案している。

 わが国の結核医療は結核予防法に基づいて行われており、その医療内容は同法の施行規則で規定する「結核医療の基準」に基づいて行われている。今回の学会案は、国の定める「結核医療の基準」の改正を提案するもの。厚生労働省は昨年7月から、厚生科学審議会の感染症分科会結核部会で結核対策の包括的見直しを進めており、「部会の審議を通し、“結核医療の基準”についても何らかの見直しを行う予定で、その際にこの提案も参考にする」(厚生労働省結核感染症課)という。

 改正案の最大の特徴は、病型や排菌の有無に関わらず、最初の2カ月はリファンピシン(RFP)、イソジアニド(INH)、ピラジアニド(PZA)にストレプトマイシン(SM)または塩酸エタンブトール(EB)を併用する「4剤併用療法」を行うべきとしたこと。この4剤併用療法を2カ月行った後、RFP+INHの2剤、またはEBを加えた3剤併用療法を4カ月実施する、計6カ月の“短期化学療法”を結核初回治療の基本に据えた。

 副作用のためPZAが投与できない患者に対しては、RFP+INHにSMまたはEBを組み合わせる3剤併用療法を6カ月行い、その後RFP+INHの2剤、またはEBを加えた3剤で3カ月間治療する。一方、現行の「結核医療の基準」で、上記2法と並んで推奨されている「RFP+INH2剤併用療法」については、改正案では「活動性結核の治療法としては不十分であり、標準療法から削除する」とし、「耐性化防止の観点から、活動性結核の治療はすべて3剤以上の併用療法を原則とする」ことを提案した。

 抗結核薬の区分に関しては、1.First-line drugs(a)(一次性抗結核薬;最も強力な抗菌作用を示し、菌の撲滅に必須):RFP、INH、PZA、2.First-line drugs(b)(準一次性抗結核薬;主に静菌的に作用し、1との併用で効果が期待される):SM、EB、3.Second-line drugs(二次性抗結核薬;1、2より抗菌力は劣るが、多剤併用で効果が期待される):カナマイシン(KM)、エチオナミドまたはプロチオナミド(TH)、硫酸エンビオマイシン(EVM)、パラアミノサリチル酸カルシウム(PAS)、サイクロセリン(CS)−−の3種類に分類した。

 また、服薬法については、患者が確実に服薬したことを確認する「対面服薬療法」(DOT)の導入も睨み、First-line drugsは1日1回投与を原則とした。また、RFPやINHで発疹、発熱などのアレルギー様副作用が起こった場合は、一旦投与を中止するが、副作用が回復した後は速やかに「極少量より投与し、漸増する」減感作療法を試みる必要があるとしている。

 同学会治療委員会では今後、抗結核薬の標準的投与量の設定、RFP・INH投与不可例に対する標準的治療法や、多剤耐性結核の標準的治療法についても検討を進め、具体的な提言を行う予定だ。今回公表した見直し案は、同学会ホームページの「結核医療基準の見直し」まで。

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