2002.07.16

進行性NSCLCに対するPCベースの化学療法で長期成績発表、2年生存率が19%に

 進行性の非小細胞肺癌(NSCLC)患者に対し、パクリタキセル(商品名:タキソール)とカルボプラチン(商品名:パラプラチン)とを併用する「PC療法」の長期成績が、Journal of Clinical Oncology(JCO)誌7月1日号に発表された。PC療法単独、あるいはもう1剤を加えた3剤併用療法で、2年生存率は全体で19%と極めて高くなることがわかった。「The Minnie Pearl Cancer Research Network」が実施した多施設共同第2相試験によるもので、長期成績が発表されるのは初めて。

 今回発表された試験結果は、PC療法をベースとする2剤、3剤併用療法の長期成績。具体的には、1.PC療法、2.PCにゲムシタビン(商品名:ジェムザール)を加えた3剤併用療法(PCG療法)、3.PCにビノレルビン(商品名:ナベルビン)を加えた3剤併用療法(PCV療法)−−の、3種類のレジメン(抗癌薬の組み合わせ)における臨床成績を評価した。

 対象は、これまで抗癌薬による治療を受けたことがない、臨床病期が3Bまたは4のNSCLC患者321人。うち半数が腺癌、7割強が臨床病期4で、8割強は外科手術や放射線療法を受けていない。患者の平均年齢は61歳で、全身状態を反映するパフォーマンス・ステータス(PS)は9割が0〜1だった。

 治療スケジュールは、PC療法、PCG療法、PCV療法のいずれも、21日間を1コースとした。パクリタキセルとカルボプラチンは第1日目に投与し、PCG療法ではゲムシタビンを第1、8日目に追加投与、PCV療法ではビノレルビンを第1日目と第8日目(あるいは第15日目)に追加投与した。投与量はPC療法がP:225mg、C:6.0AUC、PCG療法がP:200mg、C:5.0AUC、G:1000mg、PCV療法がP:200mg、C:6.0AUC、V:22.5mg(投与量はいずれも体表面積1m2当たり)。

 最短で40カ月、中央値で58カ月追跡した結果、PCをベースとする治療を受けた患者全体での生存率は、1年、2年、3年、4年の順に40%、19%、7%、4%となり、治療奏効率は38%となった。生存期間の中央値は8.6カ月、無進行生存期間の中央値は4.2カ月で、生存率や奏効率などにレジメン間の有意差は認められなかった。

 生存率や奏効率をレジメン別にみると、PC療法を受けた患者155人の治療奏効率は36%で、1年、2年、3年、4年生存率はそれぞれ35%、16%、5%、4%となった。PCG療法(77人)では、治療奏効率が44%で、1年、2年、3年、4年生存率はそれぞれ47%、21%、9%、4%だった。PCV療法(89人)の治療奏効率は35%で、1年、2年、3年生存率は40%、16%、7%となった。

 しかし、副作用の発生に関しては、3剤併用治療を受けた患者に骨髄抑制が有意に多く見られた。特に、PCV療法を受けた患者の90%にはグレード3〜4の白血球減少、43%にはグレード3〜4の発熱性好中球減少が認められた。一方のPCG療法では、グレード3〜4の血小板減少(45%)と疲労(41%)の発生率が特に高かった。
 
 パクリタキセルとカルボプラチンはいずれも、近年開発された新規の抗癌剤。この2剤を組み合わせたPC療法は、進行性のNSCLCに対する標準的なレジメンとなりつつあるが、2年、3年生存率など長期的な治療成績はほとんどわかっていなかった。また、PC療法にもう1剤を組み合わせる3剤併用療法についても、効果や副作用などの長期的な評価は不十分だった。

 今回の成績を受け、研究グループは「パクリタキセルとカルボプラチンとを併用するPC療法は、従来のプラチナ製剤をベースとする肺癌の化学療法と比べ、2倍以上高い1年、2年生存率を得られる」と結論。3剤併用療法については「今回の試験では(副作用面で)否定的な結果となったが、今後、大規模な比較試験で証明する必要がある」と強調している。

 この論文のタイトルは、「Long-Term Follow-Up of Patients Treated With Paclitaxel/Carboplatin-Based Chemotherapy for Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer: Sequential Phase II Trials of the Minnie Pearl Cancer Research Network」。アブストラクトは、こちらまで。(張辛茹、医療ジャーナリスト)

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