2002.07.10

ASAとAAN、「脳梗塞発症48時間以内のアスピリン投与」を推奨

 米国脳卒中協会(ASA)と米国神経学会(AAN)は7月9日、虚血性脳血管障害(脳梗塞)の急性期治療に関する共同声明を発表した。アスピリンなどの抗血小板薬や、ヘパリンなどの抗凝固薬の、脳梗塞急性期治療における有用性を検証したもの。声明文は、ASAの所属する米国心臓協会(AHA)の学術誌であるStroke誌7月号と、AANの学術誌であるNeurology誌7月9日号に同時掲載された。

 この声明文は、AANとASAの脳卒中ガイドライン開発共同委員会が作成した。脳梗塞患者を対象に、抗血小板薬や抗凝固薬の早期投与の有用性を調べた無作為化二重盲検試験を網羅的に抽出し、薬剤別に共通の評価項目に従って検証した。

 具体的な評価項目は、1.脳卒中による死亡や後遺症の発生率を減らすか、2.脳卒中の早期再発を予防するか、3.脳卒中の種類によって効果が変わるか、4.全身性の血栓性合併症(深部静脈血栓症と肺塞栓)を減らすか、5.治療に伴う出血性リスクはどの程度か、6.急性の心血管性合併症への影響−−の六つ。

 その結果、アスピリンに関しては、「CAST」(the Chinese Acute Stroke Trial)試験や「IST」(the International Stroke Trial)試験などから、早期投与により脳卒中死または非致死性脳卒中の再発が「わずかながら統計学的に有意に」減ると評価。一方、ヘパリンや低分子量ヘパリン、糖蛋白(GP)2b/3a受容体拮抗薬のアブシクシマブについては、脳梗塞急性期に投与しても脳卒中死や後遺症の発生を減らすとの根拠は示されなかったとした。

 脳卒中の早期再発予防についても、アスピリンにのみ早期投与の効果が「わずかながら統計学的に有意に」あると評価。脳卒中の種類による効果の差はアスピリンでは認められないとし、低分子ヘパリンのダナパロイドでは、大動脈梗塞で有用性が高い傾向があるがエビデンスとして不十分であるとの見解を示した。

 全身性の血栓性合併症のうち、深部静脈血栓症については、アスピリンのような抗血小板薬には予防効果がなく、ヘパリンなどの抗凝固薬でのみ予防効果が認められると結論。一方の肺塞栓については、臨床試験の症例数不足により十分な評価ができないとした。

 治療に伴う出血性リスクに関しては、脳内出血、全身性出血のいずれも、アスピリン、ヘパリン、低分子ヘパリンによる治療で増加すると評価。急性の心血管合併症については、発生率が低く、現在までに行われた臨床試験では検出力が足りないと判定した。

 以上から両学会は、アスピリンに対するアレルギーや消化管出血がなく、組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)による治療を受けていない脳梗塞患者では、「発症後48時間以内にアスピリン(1日量160〜325mg)を投与すると、脳梗塞死亡率や後遺症を減らせる」と勧告した。

 また、深部静脈血栓症の合併リスクがある患者に対しては、「非薬物的な予防策(足底静脈の間欠加圧など)を講じた上で、ヘパリンや低分子ヘパリンなど抗凝固薬の予防的投与を考慮してもよい」と勧告している。

 この声明文のタイトルは、「Anticoagulants and Antiplatelet Agents in Acute Ischemic Stroke」。現在、こちらで全文を閲読できる(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。

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