2002.06.29

【ISH速報】 英国人高齢者の8割が高血圧に罹患、新たな“英国病”に

 英国でこのほど行われた疫学調査「ENGLAND 2000」で、65歳以上の高齢者の実に8割が高血圧に罹患していることがわかった。高血圧患者のうち治療を受けているのは約半数で、多くが利尿薬を基礎薬とする治療を受けていたが、血圧が治療目標域にまでコントロールされていたのは高血圧患者の2割に過ぎなかったという。調査結果は、6月27日に行われた一般口演「Hypertension in the Elderly」で、英国London医科大学疫学公衆衛生部門のP. Primatesta氏らが発表した。

 英国厚生省(DOH)は毎年、国民を対象とした健康調査「Health Survey for England」を実施している。この調査の特徴は、毎年テーマを定め、重点的な調査を行うこと。2000年の調査テーマは高齢者で、施設入居者も含めた重点的な訪問調査が展開された。

 この調査で、血圧に関しては2024人分のデータが集まった。安静下で5分おきに3回血圧を測り、3回とも「高血圧」となった人のうち、2回目と3回目の測定値を平均してその人の血圧値とした。なお、血圧値に関わらず既に降圧治療を受けている人は「高血圧」に含めた。

 その結果、高血圧の定義を160/90mmHg以上とした場合は、高齢者男性の60%、女性の65%が高血圧となることが判明。世界保健機関(WHO)/国際高血圧学会(ISH)が1999年の新ガイドラインで定めた「140/90mmHg以上」を採用した場合は、高血圧患者の比率が男性で76%、女性で84%となった。

 調査対象者の血圧値の平均は、男性が150.5/80.1mmHg、女性が156.9/77.2mmHg。拡張期血圧が90mmHg未満の人は男性の80%、女性の85%を占めたが、収縮期血圧が140mmHg未満の人は男性の23%、女性の17%しかおらず、高齢者ではやはり収縮期のみが高い収縮期高血圧(ISH)が多かった。特に「未治療の高血圧」では、ISHの比率が4分の3を占め、ISHが比較的看過されやすいことが明らかになった。

 降圧薬を服用している人では、57%が単剤で治療されており、35%が2剤、8%が3剤以上を服用していた。単剤治療を受けている人では、41%が利尿薬、23%がβ遮断薬を処方されており、カルシウム(Ca)拮抗薬は20%、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬は14%だった。

 一方、2剤併用療法を受けている人の場合、最も多い薬剤の組み合わせは利尿薬とACE阻害薬の31%。次いで利尿薬とβ遮断薬の17%、利尿薬とCa拮抗薬の16%となり、併用療法でも利尿薬を基礎薬とするケースが多いことがわかったという。

 以上からPrimatesta氏は、「高齢者の高血圧を管理する上では、特に収縮期血圧に注意を払う必要がある」と結論。「より広い組み合わせでの併用療法を取り入れるべき」と強調した。

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 医師・医学生の不祥事報道を目にする度に… 東謙二の「“虎”の病院経営日記」 FBシェア数:29
  2. 「102歳Asystole」に思うこと 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」 FBシェア数:222
  3. 医師免許を失う以外はたいしたリスクじゃない 鈴木裕介の「キャリア迷子」に捧げる処方箋 FBシェア数:0
  4. 麻疹集団感染、医療機関の受診者からも陽性者 パンデミックに挑む:トピックス FBシェア数:237
  5. 子どもにとってトイレやうんちは諸刃の剣 田中由佳里の「ハラワタの診かた」 FBシェア数:56
  6. 若年者のピロリ菌スクリーニング検査は簡便な尿中抗… 学会トピック◎第13回日本消化管学会総会学術集会 FBシェア数:2
  7. インフルエンザ脳症が58例に、6人死亡 インフルエンザ診療Next:トピックス FBシェア数:385
  8. 初訪問で患者が激怒!そのワケは? 新井翔の「I love 在宅」 FBシェア数:79
  9. 「怒鳴る」「注意できない」管理者の結末 太田加世の「看護マネジメント力を磨こう」 FBシェア数:6
  10. 2016年の梅毒患者は4500人超、最多の東京都… 前年比で大幅増加 FBシェア数:239