2002.06.28

【ISH速報】 「SCOPE」「PROGRESS」痴呆サブ解析など注目の臨床試験結果が発表−Large Clinical Trialより

 ISHで毎年最も注目を集めるセッションが、6月27日に開催されたプレナリー(必須)セッション「Large Clinical Trials」。今年は、「ANBP2」「SCOPE」「PHYLLIS」「LIFE-DIABETES」「PROGRESS-DIMENTIA」と「CONVINCE」の、六つの臨床試験結果が発表された。注目の試験結果を以下に紹介する。

◆ ANBP2
(Second Australian National Blood Pressure Study)

 降圧治療の基礎薬としてサイアザイド系利尿薬を用いた場合と、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬のエナラプリルを用いた場合とで、高血圧高齢者の心血管(CV)イベントや総死亡がどの程度変わるかを検討した。65〜84歳の高血圧男女約6000人を2群に割り付け、中央値で4.1年追跡した。対象者の男女比はほぼ半々で平均年齢は71歳、血圧は平均167/91mmHg、体格指数(BMI)は平均27で8割に運動習慣があり、冠動脈疾患の既往は8%、糖尿病は8%と比較的低リスク。降圧目標値は収縮期血圧が150mmHg未満。

 1次評価項目の総CVイベント+総死亡は、ACE阻害薬群で相対的に11%有意に低くなった(p=0.05)。効果は男性でのみ認められた。総CVイベント、総死亡を個別にみた場合はACE阻害薬群で低い傾向はあったが有意差はなかった。イベントは最初の6カ月に多く、非致死CVイベントと心筋梗塞(MI)はACE阻害薬群で有意に少なく、逆に脳卒中は利尿薬群で有意に少なかった。

◆ SCOPE
(the Study on Cognition and Prognosis in Elderly Hypertensives)

 アンジオテンシン2(A2)受容体拮抗薬のカンデサルタンをベースとした降圧治療と、レニン−アンジオテンシン系抑制薬(ACE阻害薬、A2受容体拮抗薬)以外の降圧薬による治療とで、高血圧高齢者の主要CVイベントがどの程度変わるかを比較した。70〜89歳の高血圧男女約5000人を2群に割り付け、約5年追跡した。対象者の平均年齢は76.4歳で80歳以上が2割、女性が約65%。平均血圧は166/90mmHgでミニメンタル試験(MMSE、30点満点で24未満は痴呆)で評価した認知機能は平均28.5点。降圧目標値は140/90mmHg。

 最終評価時の平均血圧は、A2受容体拮抗薬群が145/80mmHg、対照群が149/82mmHg。1次評価項目の主要CVイベント(CV死+非致死MI+非致死脳卒中)はA2受容体拮抗薬群で相対的に11%低かったが有意差はなかった(p=0.19)。非致死脳卒中はA2受容体拮抗薬群で相対的に28%有意に少なかった(p=0.04)。認知機能に関するサブ解析では、痴呆発症または認知機能の重度低下が、A2受容体拮抗薬群で相対的に11%少なかったが有意差はなかった(p=0.32)。

◆ PHYLLIS
(the Plaque Hypertension Lipid Lowering Italian Study)

 高血圧と高脂血症を合併した中高年男性・閉経後女性に、高脂血症の食事療法下で降圧治療の基礎薬としてACE阻害薬のフォシノプリルまたはサイアザイド系利尿薬、追加高脂血症治療としてスタチン系薬のプラバスタチンまたはプラセボを投与し、動脈硬化性病変の進展抑制効果を比較した。45〜70歳の男女(女性は閉経後)約500人を4群に割り付け、食事療法下で1.利尿薬+プラセボ、2.フォシノプリル+プラセボ、3.利尿薬+プラバスタチン、4.フォシノプリル+プラバスタチン−−をそれぞれ投与して約3年追跡した。

 対象者は平均58歳、4割が男性でBMIは25.5、随時血圧は161/98mmHgで24時間血圧は138/85mmHg。動脈硬化の進展度を頚動脈内膜中膜肥厚(IMT)で評価すると、「利尿薬+プラセボ」群を除く3群ではほとんど開始時と変わらず、「利尿薬+プラセボ」群でのみ増悪が認められた。

◆ LIFE-DIABETES
(Losartan Intervention for Endpoint Reduction in Hypertension Study - Diabetes)

 今年3月の米国心臓学会(ACC)で発表された「LIFE」(Losartan Intervention for Endpoint Reduction in Hypertension Study)試験(関連トピックス参照)のサブ解析。左室肥大(LVH)を合併した高血圧患者約9200人を、糖尿病(DM)合併者(約1200人)と非合併者(約8000人)に分けて複合予後や総死亡、糖尿病発症率を比較した。詳細は既にLancet誌3月23日号に掲載されている(Lancet;359,995,2002、Lancet;359,1004,2002)。

 DM合併者では、降圧治療の基本薬としてA2受容体拮抗薬のロサルタンを用いた群で、β遮断薬のアテノロールを用いた群よりも、他の危険因子で補正後も複合予後到達率が相対的に24%、総死亡率が相対的に39%、有意に低かった(p=0.031、0.002)。非DM合併者では、A2受容体拮抗薬群でβ遮断薬群よりもDM新規発症者が相対的に25%、有意に少なかった(p=0.001)。

◆ PROGRESS-DIMENTIA
(Perindopril Protection Against Recurrent Stroke Study - Dimentia)

 昨年の欧州高血圧学会(ESH)で発表された「PROGRESS」(Perindopril Protection Against Recurrent Stroke Study)のサブ解析。「PROGRESS」試験そのものは昨年9月にLancet誌に論文が掲載されている(Lancet;358,1033,2001)。脳卒中または一過性脳虚血(TIA)の既往者約6100人を対象に、ACE阻害薬のペリンドプリルを基礎薬とする降圧治療の脳卒中二次予防効果を検討したプラセボ対照試験で、今回は痴呆予防に対する検討結果が発表された。

 対象者の背景因子は両群とも、年齢が平均64歳、女性が3割で、痴呆発症リスクが高いアポリポ蛋白E4保持者は22%。MMSEの平均点は29、MMSEが満点(30点)の人の比率は41%、認知機能低下者(MMSEが26未満または痴呆)比率は16%。約4年の追跡期間でACE阻害薬群の方が痴呆発症率が相対的に12%低かったが有意差はなかった。脳卒中再発者に絞って解析すると、痴呆発症率はACE阻害薬群で相対的に34%、有意に低かった(p=0.03)。

◆ CONVINCE
(Controlled Onset Verapamil Investigation of Cardiovascular Endpoints)

 55歳以上の高血圧肥満男女約1万7000人を対象に、降圧治療の基礎薬としてカルシウム拮抗薬のベラパミル徐放錠(COER)と、β遮断薬のアテノロールまたはサイアザイド系利尿薬を用いた場合のCVイベント抑制効果を比較した。試験そのものは予定より2年早い1998年12月に中止されており(平均3年追跡で非致死MI+非致死脳卒中+CV死のハザード比が1.02、95%信頼区間:0.88〜1.18)、今回は対象者背景などの地域差に関する検討結果が発表された。

 対象者の平均年齢は65.5歳で44%が男性、非白人は15%。対象者の参加地域を1.米国(8144人)、2.カナダ(3405人)、3.西欧(2048人)、4.東欧(2879人)に分けて分析すると、最終解析時の降圧値に米国は147/84mmHg、西欧は155/90mmHgと、大きなばらつきがあることがわかった。東欧では他の地域より肥満者が少なく喫煙率が高いこと、米国では他の地域より試験からの脱落率が高いことなども明らかになった。

■ 関連トピックス ■
◆ 2002.3.22 ACC '02速報】「LIFE」と「OVERTURE」、予想外の結果に−−LBCT 3より

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