2002.06.27

【ISH速報】 メラトニンに夜間降圧作用、プラセボ対照試験で確認

 「睡眠ホルモン」として知られるメラトニンに、夜間の血圧を下げる作用があることがわかった。この作用はある程度継続して服用した場合に現れ、かつ睡眠の質(よく眠れたかどうか)とは独立していることも確認された。高血圧患者の夜間降圧を補助する薬として、メラトニンに新たな注目が集まりそうだ。研究結果は、オランダ脳研究所のF. A. J. L. Scheer氏らが、6月26日のポスターセッションで発表した。

 メラトニンは脳の松果体から放出されるホルモンで、生体のサーカディアン・リズムを整える作用がある。血圧は昼間は高く、夜は低くなるのが自然だが、高血圧患者では夜間降圧が不十分なケースがしばしばみられ、生体リズムの乱れが一因ではないかと指摘されていた。

 メラトニンの受容体は中枢系のほか、血管壁にも発現している。そこでScheer氏らは、1.メラトニンの単回服用、2.メラトニンの継続服用−−のそれぞれについて、実薬群とプラセボ群を入れ替えるクロスオーバー試験を実施し、血圧の日内変動への影響を調べた。対象は未治療の軽度高血圧がある男性患者16人で、平均年齢は55歳。

 Scheer氏らはまず、寝る1時間前にメラトニン2.5mgまたはプラセボを1回服用してもらい、24時間血圧計(ABPM)で服用前後の血圧変動を比較した。すると、メラトニンを1回服用しただけでは、昼間、夜間共に血圧の変動パターンに変化は出ないことがわかった。

 次にScheer氏らは、3週間連続してメラトニンまたはプラセボを服用してもらい、その前後の24時間血圧を比較した。その結果、メラトニンを連続服用した期間の前後で、夜間の血圧が有意に下がることが判明。降圧幅は収縮期で平均6mmHg(p=0.045)、拡張期で4mmHg(p=0.016)となった。夜間降圧が不十分な人ほど、夜間の降圧幅が大きい傾向も認められた。

 ただし、メラトニンには生体リズムの乱れによる不眠(入眠障害)に対する効果が報告されており、夜間血圧の低下は「よく眠れるようになったため血圧が下がった」とも解釈できる。そこでScheer氏らは、メラトニン連続服用期間での睡眠の質の変化を、携帯用活動計(アクティグラフィー)で評価し、降圧幅との関連を検討した。すると、服用者は全体として睡眠の質が確かに改善されていたが、改善度合いと降圧幅とには全く相関が認められず、メラトニンは睡眠の質の改善とは独立して夜間降圧を促すことがわかったという。

 Scheer氏は「対象者数が少数なので確定的なことは言えない」と前置きしつつ、「単回服用では効果がみられず、継続服用で夜間降圧が認められた点を考慮すると、メラトニンの夜間降圧促進作用は、血管壁の受容体を介してではなく中枢系への作用を通して発揮されているのではないか」と考察。今後は女性も含めたより大規模な試験を行い、「効果に用量依存性があるかどうかについても確認したい」と話した。

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