2002.06.25

【ISH速報】 中高年女性への運動処方、水泳は逆効果に

 中高年女性を対象にオーストラリアで行われた無作為化比較試験で、定期的なウォーキングでは血圧が下がるが、水泳では血圧が上がることが明らかになった。定期的な運動に降圧効果があることはよく知られているが、運動の種目によっては逆効果になることもあるようだ。研究結果は、6月24日の一般口演「Salt Intake and Life Style Modification」で、オーストラリアWestern Australia大学のKay Cox氏らが発表した。

 Cox氏らは、運動の降圧効果を調べた研究では、運動種目として主にウォーキングやジョギング、ランニングが採用されており、水泳の降圧効果について調べた研究がほとんどない点に着目。水泳選手では他の持久系スポーツ選手より血圧が高いとの報告はあるが、水泳は体への重力負荷が少なく、高齢者や関節障害がある人でも行えるとのメリットもあるため、無作為化試験で血圧に対する影響をウォーキングと比較した。

 試験の対象は、50〜70歳で運動習慣がなく(中等度運動を週30分未満)、体格指数(BMI)が34未満の「肥満ではない」(Cox氏)中高年女性。血圧は160/100mmHg未満で、25m泳げることも条件とした。新聞広告などで参加者を募り、応募してきた116人を無作為に2群に分け、水泳またはウォーキングを1回当たり30分間、週3回6カ月行ってもらった。

 参加者の平均年齢は55.5歳で平均BMIは26.4。仰臥位で測定した血圧は116/67mmHg、心拍数は67回/分で、12人(10%)は降圧治療を受けていた。運動の実施率は水泳、ウォーキング共に7割以上。定期的な運動を6カ月行った後は、水泳群(56人)とウォーキング群(60人)のいずれも歩行能力(一定距離を歩く時間で評価)が向上していた。一方、水泳能力(一定時間に泳げる距離で評価)は、水泳群でのみ向上がみられた。

 次にCox氏らは、定期的な運動を行う前後での血圧の変化を調べた。すると、座位および仰臥位で測定した血圧値や24時間血圧の平均値は、ウォーキング群で有意ではないものの低下する傾向が認められた。ところが水泳群では、24時間血圧には違いがないものの、座位や仰臥位で測定した血圧が、運動前と比べておよそ3/1mmHg有意に上昇していた。

 試験参加者には閉経前の人も含まれているが、両群でのばらつきはなく、また閉経しているか否かは血圧の変動とは無関係だったという。定期的な水泳でなぜ血圧が上がるのか、女性特有の現象なのかなど解明すべき点は残るものの、「少なくとも中高年女性に対して運動処方を行う場合は、種目として水泳は避けた方がいいだろう」とCox氏は述べた。

■ 参考トピックス ■
◆ 2002.4.4 有酸素運動の降圧効果は3〜4mmHg、無作為化試験のメタ分析で示唆

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 「医療訴訟がとにかく怖いんです!」 研修医のための人生ライフ向上塾! FBシェア数:1
  2. キャラクターで抗菌薬を覚える!? 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」 FBシェア数:41
  3. 39歳男性。両下肢のしびれ、痛み 日経メディクイズ●神経内科 FBシェア数:0
  4. 立て続けにレセプト査定、今講じるべき対策は? 診療所経営駆け込み寺 FBシェア数:2
  5. ビギナーの助手は「術野展開」への専念が大切 学会トピック◎JDDW2017 FBシェア数:15
  6. CKDの原因に便秘 便秘薬に腎保護作用 Unmet Medical Needs 2017 秋 FBシェア数:4
  7. 関節リウマチの原因は腸内細菌の乱れ Unmet Medical Needs 2017 秋 FBシェア数:68
  8. 地裁が「パワハラで解雇は無効」 群馬大医学系研究科教授の懲戒解雇処分 FBシェア数:3
  9. 再発膀胱癌で生じた発汗、動悸、呼吸困難 カンファで学ぶ臨床推論 FBシェア数:0
  10. 超拡大内視鏡とAIの活用で大腸癌リンパ節転移の予… 学会トピック◎JDDW2017 FBシェア数:6