2002.06.19

STOP-NIDDM試験の原著論文がLancet誌に掲載、αグルコシダーゼ薬がIGT者の糖尿病発症を予防

 昨年の欧州糖尿病学会(EASD)で発表され、大きな注目を集めた「STOP-NIDDM」(Study TO Prevent Non-insulin-dependent diabetes mellitus)試験の原著論文が、Lancet誌6月15日号に掲載された。

 STOP-NIDDM試験は、耐糖能異常(IGT)者を対象に、血糖降下作用を持つα(アルファー)グルコシダーゼ薬のアカルボース(わが国での商品名:グルコバイ)の糖尿病発症予防効果をみたプラセボ対照無作為化試験(関連トピックス参照)。実薬服用群では3.3年で25%、2型糖尿病の発症が抑制されることが判明し、IGTが“介入可能な病態”であるとの認識を深める結果となった。

 試験対象は、40〜70歳で体格指数(BMI)が25〜40、空腹時血糖が比較的高い(5.6〜7.7mmol/l、100〜139mg/dl)IGT者1429人。男女比は半々で平均年齢は約54歳、BMIの平均値はおよそ31で、ほぼ全員が白人だ。無作為に2群に分け、アカルボース100mg1日3回またはプラセボを3年間服用してもらい、糖尿病発症率を比較した。なお、試験の前後に全員がプラセボを服用する期間(wash-in期間1カ月、wash-out期間3カ月)を設けた。

 試験で採用したIGTの定義は、75gブドウ糖負荷試験(OGTT)の2時間値が7.8〜11.1mmol/l(140〜200mg/dl)というもの。試験参加時の平均2時間値はアカルボース群が9.26mmol/l(167mg/dl)、プラセボ群が9.25mmol/l(167mg/dl)。空腹時血糖値はアカルボース群が6.23mmol/l(112mg/dl)、プラセボ群が6.24mmol/l(112mg/dl)で、いずれも両群に差はなかった。

 この試験では、糖尿病の診断基準としてOGTTのみを採用しており、2時間値を1回測定してその値が11.1mmol/l(200mg/dl)を超えた時に「糖尿病の発症」とした。被験者は年に1度OGTTを測定するほか、3カ月に1度空腹時血糖を調べ、その値が7.0mmol/l(126mg/dl)以上の場合は随時OGTTを行って糖尿病の発症の有無を調べた。

脱落者含めたITT解析でもNNTは11人

 その結果、平均3.3年の追跡期間に、解析対象者1368人中506人(37.0%)が糖尿病を発症。発症率はアカルボース群(682人)で32%、プラセボ群(686人)で42%となり、アカルボース群では2型糖尿病の発症が相対的に25%抑制されることが明らかになった(p=0.0015)。3.3年で1人の糖尿病発症予防に必要な介入必要人数(NNT)は11人となった。

 また、糖尿病の診断基準として、より一般的な「空腹時血糖が2度連続7.0mmol/l(126mg/dl)以上」との定義を採用した場合も、発症率の絶対値は下がるものの同程度の抑制効果が認められた。糖尿病発症率はアカルボース群で17%、プラセボ群で26%となり、発症を相対的に32%抑制する(p=0.0010)との結果になった。

 なお、この「1日3回薬を飲み続ける」試験の脱落率は高く、3年間で全体の4分の1が脱落したが、解析は脱落者も含めたITT(Intent-to treat)形式で行っている。アカルボース群では211人(30.9%)、プラセボ群では130人(19.0%)が服薬を途中で中断した。脱落理由の多くは下痢など消化管系の副作用だった。

 研究グループは、「DPP試験」などで示されたように(関連トピックス参照)、2型糖尿病の予防には生活習慣の改善が有用であることを認めつつも、「アカルボースは生活習慣改善の代替策、あるいは生活習慣改善に追加する形で、IGT者の2型糖尿病の発症遅延に役立つ」と結論。IGTのスクリーニングやIGT者への介入を再評価すべきだと強調している。

 この論文のタイトルは、「Acarbose for prevention of type 2 diabetes mellitus: the STOP-NIDDM randomised trial」。アブストラクトは、こちらまで。

■ 関連トピックス ■
◆ 2001.9.14 EASD学会速報】アカルボースがIGT者の糖尿病発症を3年で2割減少−STOP-NIDDM試験より
◆ 2002.2.13 生活指導やビグアナイド系薬でハイリスク者の糖尿病発症が抑制−DPP試験より

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