2002.06.14

英国胸部学会、小児の市中肺炎管理ガイドラインを発表

 英国胸部学会(BTS)はこのほど、小児の市中肺炎管理ガイドラインを発表した。ガイドラインはBTSの学術誌であるThorax誌増補版(Supplement)に掲載されたほか、BTSのホームページ上でも公開された。

 同ガイドラインでは、小児の市中肺炎について得られているエビデンスに重み付けをした上で現状を整理。診断や治療、予防に関する推奨策を提示している。

 診断に関しては、小児の市中肺炎のうち2〜6割は原因病原体が不明で、混合感染も8〜40%で認められるものの、小児の年齢が病原体の推測に役立つと指摘。乳児ではウイルス感染が最も多く、より年長の小児で細菌感染性の場合は、肺炎球菌の感染後にマイコプラズマまたは肺炎クラミジア(chlamydial pneumonia)が二次感染したケースが多いとした。

 また、軽症で合併症のない急性肺炎(下気道感染)が疑われる小児には、全例に胸部X線撮影を行うよう推奨。入院して加療する場合は、パルスオキシメーターが病状の把握に役立つが、炎症マーカーのC反応性蛋白(CRP)値や白血球数などの検査は「市中肺炎が細菌性かウイルス性かの判定には役立たないためルーチンに実施すべきではない」とした。血液培養や喀痰培養などは、入院加療するケースにのみ全例に行うべきとしている。

 治療に用いる抗菌薬については、5歳未満の小児では合成ペニシリン製剤のアモキシシリン(日本での商品名:サワシリンなど)、5歳以上ではアモキシシリンまたはマクロライド系抗菌薬のエリスロマイシン(同:エリスロシンなど)を第一選択薬として推奨した。

 代替薬としては、5歳未満では合成ペニシリン製剤とβラクタマーゼ阻害薬との合剤であるクラブラン酸・アモキシシリン(同:オーグメンチン)またはセフェム系のセファクロル(同:ケフラールなど)、5歳以上ではクラブラン酸・アモキシシリン、セファクロールまたはマクロライド系のクラリスロマイシン(同:クラリス、クラリシッド)、アジスロマイシン(同:ジスロマック)が推奨された。

 さらに、小児の市中肺炎の予防策として、1.受動喫煙の回避、2.b型インフルエンザ菌と百日咳のワクチン接種、3.人混みを避ける、4.家屋の改善−−の4点を挙げている。

 このガイドラインのタイトルは、「BTS Guidelines for the management of community acquired pneumonia in childhood」。現在、全文をこちら(PDF形式)で入手できる。同ガイドラインの概要や、昨年末に発表された成人市中肺炎管理ガイドラインも、BTSのホームページから入手可能だ。

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 25歳女性。外陰部の結節 日経メディクイズ●皮膚 FBシェア数:0
  2. マッチング中間、大学首位は不動の東京医科歯科 「医師臨床研修マッチング2017」中間結果ランキング FBシェア数:387
  3. 知ってた? 一円玉はX線画像に写らない! 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」 FBシェア数:248
  4. 胃亜全摘術後に胃潰瘍と判明、執刀医が有責 判例に学ぶ 医療トラブル回避術 FBシェア数:4
  5. 「研修医にやる気がない」「教えるとウザがられる」… 学会トピック◎日本病院総合診療医学会学術総会 FBシェア数:708
  6. ナース時代のすりこみ 病院珍百景 FBシェア数:2
  7. カロナール細粒が10月中旬にも品薄状態に 原薬供給停止の影響で FBシェア数:497
  8. 患者の本音を引き出す質問術 患者の心を開くメディカル・サポート・コーチング塾 FBシェア数:12
  9. 55歳女性。起床後、頻回の嘔吐・下痢 日経メディクイズ●腹部X線 FBシェア数:0
  10. カウンターロックを故障と勘違い プライマリケア医のための喘息・COPD入門 FBシェア数:2