2002.06.12

米NAEPPの喘息ガイドラインが改訂、「第一選択」治療を明記

 米国心臓肺血液研究所(NHLBI)は6月10日、関連組織である米国喘息教育・管理プログラム(NAEPP)が作成した「喘息診断・管理ガイドライン」の改訂版を発表した。重症度別に推奨治療を列挙した旧ガイドラインとは異なり、各重症度における「より望ましい治療」(第一選択治療)を明確に記載した点が今改訂の最大の特徴。第一選択治療には、小児・成人共に、吸入ステロイド薬を中心とした抗炎症治療が据えられた。

 NAEPPの喘息診断・管理ガイドラインが作成されたのは1991年。1997年に最初の改訂が行われており、今回の2002年版は三訂版となる。

 ガイドラインの骨子は旧版と同じく、喘息の治療薬を「発作治療薬」(レリーバー)と「長期管理薬」(コントローラー)に分け、成人・小児(5歳以下)別に4段階の重症度(軽症間欠型、軽症持続型、中等度持続型、重症持続型)に応じた薬剤選択を提示するもの。今改訂では、成人だけでなく小児にも、軽症持続型(ステップ2)以降の喘息管理に対し、吸入ステロイド薬が第一選択薬として明確に位置付けられた。

 旧ガイドラインからの変更点は、小児への吸入ステロイド投与が、中等度持続型(ステップ3)からではなく軽症持続型(ステップ2)から開始するとされた点。小児へのステロイド治療では成長障害などの悪影響が懸念されているが(関連トピックス参照)、NAEEPの専門委員会は「大規模臨床試験から、仮に成長障害が生じても一時的で、回復可能であることが示唆された」との見解を示している。

 長時間作動型吸入β刺激薬が、吸入ステロイド薬の併用薬として、小児・成人共に中等度持続型(ステップ3)以降の喘息管理に対する第一選択薬となった点も大きな改訂点。わが国でも今年4月、初の長時間作動型吸入β刺激薬が承認されており(関連トピックス参照)、今回のガイドライン改訂は普及の追い風になりそうだ。

 このほか、抗アレルギー薬のロイコトリエン受容体拮抗薬が、今改訂でついに推奨薬として記載された。世界保健機関(WHO)/NHLBIの国際喘息ガイドライン「GINA」(Global Initiative For Asthma)では既に推奨薬となっており、両ガイドライン間の“齟齬”が解消された格好だ。成人・小児の長期管理における「代替治療」(第二選択治療)としての推奨で、わが国でも昨年2成分3品目が新たに発売されており、日本での位置付けが今後どうなっていくかが注目される。

 わが国の喘息ガイドラインには、厚生省(現:厚生労働省)研究班が1998年に改訂した成人・小児用の「喘息予防・管理ガイドライン 1998改訂版」と、日本小児アレルギー学会が2000年に発表した小児用の「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン 2000」とがある。NAEPPやWHO/NHLBIのガイドラインと同様、重症度別の治療戦略を提示しているが、多種類の推奨薬が列挙されている点が異なる。うち小児用ガイドラインについては、今秋にも改訂される見込みだ。

 NAEEPの「Guidelines for the Diagnosis and Management of Asthma」改訂版は、概要がこちら(PDF形式)で入手できる。ガイドラインの全文も、近くNHLBIのホームページに掲載される予定だ。なお、WHO/NHLBIの「GINA」ガイドラインもこのほど改訂されており、改訂版がGINAプロジェクトのホームページから入手できる。

■ 関連トピックス ■
◆ 2002.3.6 吸入ステロイド、幼児への使用で成長抑制が確認
◆ 2002.4.17 国内初の長時間作動型吸入β刺激薬が承認、効能にCOPDも

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