2002.06.07

1型糖尿病の家族歴のあるハイリスク群、低インスリン療法による発症遅延・予防効果は確認できず

 1型糖尿病の家族歴のあるハイリスク群に対するインスリン療法は、その発症を遅らせることができるのか、あるいは予防することができるのか−−。この答えを明らかにする研究が幾つか試みられているが、このほど0.25単位/kg/日という低インスリン療法では発症遅延・予防効果は確認できなかったとする研究結果がNew England Journal of Medicine(NEJM)誌5月30日号に掲載された。

 米国Miami大学のJ.S.Skyler氏を中心とする研究グループは、1994年から対象のスクリーニングを開始。1型糖尿病では、臨床症状が出始める数年前から、抗膵島細胞抗体(ICA)などの上昇がみられることから、糖尿病患者の一親等あるいは二親等の計8万4228人を対象にICAの有無を調査した。その結果3152人が陽性で、このうち2103人が発症リスクを明らかにする検査を受け、今後5年間で発症するリスクが50%以上の372人が今回の臨床試験の対象となった。

 研究グループは、試験に応じた339人を無作為に介入試験群(169人)と対照群(170人)の2群に分け、経過観察を行った。それぞれの対象の背景は、年齢(介入群7.1〜16.7歳、対照群7.6〜16.6歳)、男女比(介入群が男性87人対女性82人、対照群が89対81)、ICAのレベル(介入群40〜320JDF単位、対照群40〜320)など、ほとんど差がなかった。

 介入群には、1日2回、トータルで0.25単位/kg/日となる持続皮下インスリン注射を行い、また1年のうち4日間は、同用量の持続点滴静注を行った。正常か、明らかに糖尿病かを判断するため、経口耐糖能試験を6カ月ごとに行い、糖尿病の診断をエンドポイントとした。経過観察の中央値は3.7年。

 その結果、介入群で69人が、対照群で70人が、それぞれ糖尿病と診断された。糖尿病発症の年率は、介入群が15.1%、対照群が14.6%で、累積発症率も両群で差がなかった(介入群の対照群に対する相対危険度は0.96)。

 今回の結果について研究グループは、「0.25単位/kg/日というインスリン療法では、ハイリスクの1型糖尿病の発症を遅らせることも予防することもできなかった」と、あくまでも投与量および対象を限定した上での結論であることを強調している。

 現在、5年間で発症するリスクが25〜50%のリスクの人に対する試験や、経口インスリンによる試験も試みられており、その成果に期待したい。

 この論文のタイトルは、「Effects of Insulin in Relatives of Patients with Type 1 Diabetes Mellitus」。アブストラクトは、こちらまで。なお、この研究は米国国立衛生研究所(NIH)の助成研究で、この件に関するニュース・リリースをNIHが発表している。

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