2002.06.03

ニューキノロン系抗菌薬による腱障害、高齢者で多いことが判明

 フルオロキノロン系(ニューキノロン系)抗菌薬によるアキレス腱障害の発症頻度が、高齢者では若年者のおよそ3倍になる恐れがあることがわかった。英国の一般医診療データベース「UK MediPlus」の解析で判明したもの。比較的まれな副作用だが、高齢者に処方する際は、アキレス腱障害に対する一層の注意が必要となりそうだ。研究結果は、British Medical Journal(BMJ)誌6月1日号に掲載された。

 ニューキノロン系抗菌薬の服用者では、まれにアキレス腱炎や腱断裂などの腱障害が、副作用として生じることが知られている。しかし、実際の臨床現場でこの副作用がどの程度の頻度で生じているのかや、副作用の危険因子については明確なデータがなかった。

 そこで、オランダErasmus医療センター薬理疫学部門のP. D. van der Linden氏らは、英国の一般医(GP)を受診した患者の症状や処方などが記録された「UK MediPlus」に着目。このデータベースから、アキレス腱障害が記録された人を抽出し、ニューキノロン系抗菌薬の服薬との関連を調べた。

 1992年7月〜1998年6月までの6年間で、ニューキノロン系抗菌薬が処方されていたのは4万6776人。一方のアキレス腱障害は、外傷など要因が明らかなものを除くと、704人に腱炎、38人に腱断裂が起こっていた。

 次にvan der Linden氏らは、同じデータベースから、アキレス腱障害を生じた人と年齢、性別やニューキノロン系抗菌薬を含む服薬状況などをマッチさせた対照群1万人を抽出。症例と対照させて、どのような人でニューキノロン系抗菌薬服用によるアキレス腱障害が起こりやすいかを検討した。

 その結果、60歳未満の若年者では、「ニューキノロン服薬」と「アキレス腱障害」とには特に関連がみられないことが判明。一方、60歳以上の高齢者では、アキレス腱障害の発症に影響し得る諸因子(年齢、性別、受診年、受診頻度、ステロイド使用、筋骨格障害の既往、肥満の有無)で補正後も明らかな相関が認められた。服薬歴がない人と比較すると、服薬30日以内にアキレス腱障害を発症するオッズ比は3.1倍(95%信頼区間:2.0〜4.8)。特に、ステロイド薬を併用している人では、オッズ比が6.2倍(同:3.0〜12.8)となったという。

 ニューキノロン系抗菌薬の服薬者がアキレス腱障害を1年間に発症する頻度は、今回の検討では1000人当たり3.2人と、副作用としては極めてまれなものだ。明確な発症機序も不明だが、「1回服用しただけで突然発症したケースも報告されており、コラーゲン線維に対する直接的な毒性がある恐れもある」とvan der Linden氏らは考察。「特にステロイドを併用している高齢者にニューキノロン系抗菌薬を処方する際は、こうした副作用が起こり得ることを念頭に置くべき」と注意を喚起している。

 この論文のタイトルは、「Fluoroquinolones and risk of Achilles tendon disorders: case-control study」。現在、全文をこちらで閲読できる(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。

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