2002.05.22

【日本糖尿病学会速報】 運動療法、認知機能の評価などを議論−−「高齢者糖尿病の管理のありかた」から

 超高齢化社会を迎える日本において、高齢の糖尿病患者の疾病管理は、患者自身のQOLと生命予後の上でも、また医療経済的にも極めて重要である。5月19日の「ワークショップ8:高齢者糖尿病の管理のありかた」では、高齢者糖尿病の疾病管理上有益と思われる発表がなされた。

■写真−ワークショップの演者ら(右から荒木厚氏、梅垣宏行氏、櫻井孝氏、相澤徹氏、丹野尚氏)

 まず荒木厚氏(東京都老人医療センター内分泌科)は、高齢者糖尿病患者への運動療法は十分可能であり効果的と報告した。患者102人を対象にした試験では、運動療法介入群(50人弱)のうち59%が運動教室に参加、半年間トレーニングできた人の歩行速度は有為に改善したと述べた。また入院も非介入群の約半分、血糖コントロール目的の入院は6分の1に減少したという。

 梅垣宏行氏(名古屋大学大学院医学研究科老年科学)らは、高齢2型糖尿病患者の認知機能について、HbA1cとミニ・メンタルステート試験(MMSE)とWAIS-R符号検査結果が、弱いながら負の相関を示すと報告した。インスリン使用者は非使用者より、非使用者は対象群より認知機能が低く、OGTT成績が悪いとMMSE成績も悪いこと、低血糖症状があった患者ではMMSE成績が悪いことを示し、血糖コントロール不良と認知機能低下が関連するのではと述べた。

 同様に、櫻井孝氏(神戸大学大学院医学研究科老年内科)らは、高齢糖尿病患者はMMSE成績が悪く、特に注意力が低下し、網膜症、腎症、神経障害の合併症も多いと報告した。

 相澤徹氏(信州大学老年医学)らは、末期癌と透析患者のみを除いた外来通院中の65歳以上の高齢糖尿病患者390名を対象に、BMI≦25、HbA1c≦7.0、BP≦145/80、総コレステロール≦240を目標に治療・管理を行い、死亡と重篤な合併症(脳・心血管障害、壊疽、失明、透析等)をエンドポイントとして、3年間の予後追跡調査を行った。

 その結果、管理目標を達成できた患者の予後は一般高齢者とほとんど変わらず、血中クレアチニン値高値と脳血管障害既往のみが、一般高齢者に対する死亡危険因子で、血糖値は危険因子ではなかったと報告した。

 丹野尚氏(友仁会松島病院内科)らは、糖尿病患者と非糖尿病群の高齢者の介護度について調査し、要介護認定された糖尿病患者は有為に非糖尿病群より年齢が低く(糖尿病患者77歳±9.6、非糖尿病群82.0±7.9)、特に要介護度5の高齢者はその差がさらに明確だった(糖尿病患者74.2歳±10.6、非糖尿病群81.8±7.5)と報告した(丹野氏の発表については続報予定)。

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