2002.05.21

【日本糖尿病学会速報】 糖尿病の薬物治療についてのエビデンス、新薬の可能性についても発表

 5月18日のセッション「経口薬治療5」では、糖尿病の薬物治療についてのエビデンスと、新薬の可能性についての発表があった。

 長嶋一昭氏(京都大学大学院医学研究科病態代謝栄養学)らは、主要なインスリン分泌促進薬のスルホニル尿素受容体上の結合部位を、受容体蛋白の構成部分の一部を別な構造に置換したキメラ受容体を利用した実験で明らかにした。

 同時に、薬剤の骨格を置換または欠損させた分子により、薬剤骨格による受容体上の結合部位を明らかにし、薬理特性や膵臓以外へのインスリン分泌促進薬の作用を検討した。

 また、薬剤骨格が異なるglibencramide、tolubutamide、nateglinideの相互作用も明らかにした。前負荷、すなわち朝昼晩の服薬で薬を変えた状態での相互作用は、スルホニル骨格を持つ薬剤を連続投与するとインスリン分泌が低下すること、一方でnateglinideの後で他骨格の薬剤を投与する場合はインスリン分泌は保たれることを発表した。

 長嶋氏らは、これらの知見をもとに、インスリン分泌促進薬の選択基準を体系立てたいと展望を述べた。また、クラス1a群抗不整脈薬の血糖降下作用(副作用)を挙げ、新たな血糖降下薬への可能性も示唆した。

 高崎浩太郎氏(協和発酵工業医薬総合研究所探索研究所)らは、開発中の経口血糖降下薬KF20856が、低血糖を起こしにくい新薬となる可能性があると発表した。

 ラットでのglibencramideとの対照実験では、絶食時はglibencramideが血糖降下を起こしたがKF20856は血糖を下げなかったという。またKF20856によるインスリン分泌は、第1相が大きくスパイクし、第2相はglibencramideより低かった。経口ブドウ糖投与での実験では、KF20856の食後血糖降下はglibencramideと同等だった。また、トータルのインスリン分泌量はKF20856の方が少なかったという。

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