2002.05.19

抗菌処理カテーテル、癌患者の敗血症発生率を大幅に低減

 抗癌薬の投与時に、抗菌薬を浸透させた中心静脈カテーテルを使用すると、通常のカテーテルを使用した場合よりもカテーテル関連血流感染の発生率が大幅に低下することがわかった。栄養管理(中心静脈栄養)などの際に抗菌処理カテーテルを使うと、血流感染のリスクが低減することは知られていたが、対象を抗癌薬投与下の癌患者に絞った研究は初めて。研究結果は、5月18日の一般口演「Symptom Control, Palliative, and Elderly Care」で、米国M. D. Anderson癌センターのH. Hanna氏らが発表した。

 抗癌薬は通常、前腕の静脈から注入するが、抗癌薬の中には血管外に漏出すると重篤な皮膚障害を起こすものがある。そうした抗癌薬は、中心静脈カテーテルを留置して投与することが多い。しかし、中心静脈カテーテルは血流感染を起こしやすく、抗癌薬投与が「命綱」となっている患者にとっては深刻な問題となっていた。

 そこで研究グループは、対象患者を無作為に2群に分け、抗菌処理カテーテルがどの程度血流感染を防ぎ得るかを検討した。抗菌処理カテーテルとしては、抗菌薬のミノマイシンとリファンピンを浸透させた、シリコン製の中心静脈カテーテル(M-Rカテーテル)を用いた。対象患者は227人で、平均年齢は55歳。6割が男性で固形癌が65%を占める。3割強に白血球減少があり、約半数が抗菌薬の予防的投与を受けていた。

 3カ月後にカテーテル敗血症の発生率を比較したところ、M-Rカテーテルの留置患者では1%、普通のカテーテルを用いた患者では8%で、M-Rカテーテルを留置した患者で有意に敗血症の発生率が低いことが判明(p=0.008)。血液培養が陽性で臨床症状もあるが、カテーテルが原因かどうかがはっきりしない「カテーテル敗血症疑い」も含めると、1%対18%と、その差はさらに大きくなった(p=0.001)。

 以上から研究グループは、「M-Rカテーテルを用いると、通常のカテーテルよりもカテーテル感染症のリスクを大幅に低減できる。白血球数が少ないなど、感染症にかかるリスクが高い患者では特に、こうした抗菌カテーテルの使用を考慮すべき」とまとめた。

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 難治性皮膚潰瘍を再生医療で治す リポート◎大リーガー田中将大投手のケガも治したPRP療法とは? FBシェア数:11
  2. トイレにこそ、人間の尊厳がある Dr.西&Dr.宮森の「高齢者診療はエビデンスだけじゃいかんのです」 FBシェア数:470
  3. 輸液の入門書 医学書ソムリエ FBシェア数:0
  4. わいせつ容疑の外科医、初公判で無罪を主張 「乳腺科医のプライドにかけて無罪を主張します」 FBシェア数:568
  5. 医療者は認知症家族との暮らしが分からない 患者と医師の認識ギャップ考 FBシェア数:127
  6. 野菜食べてる? 村川裕二の「ほろよいの循環器病学」 FBシェア数:83
  7. 難治性慢性咳嗽にボツリヌスが効く!? Dr.倉原の呼吸器論文あれこれ FBシェア数:52
  8. 広がる安易な帝王切開、母体死亡率高まる危険性 国境なき医師団が見た世界の医療現場 FBシェア数:27
  9. 金属に対する生体吸収ステントの優位性示せず Lancet誌から FBシェア数:94
  10. 下血? 血便? 赤いの? 赤くないの? 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」 FBシェア数:132