2002.05.18

【日本糖尿病学会速報】 現在までに計23例の膵移植、インスリン治療離脱ができた例も

 特に小児期発症の1型糖尿病(IDDM)の患者は、一生インスリン治療が必要であり、また20〜30歳代で腎症のために人工透析導入となる場合もあり、根治療法としての膵臓移植(膵腎同時移植含む)への期待感が強い。5月17日のワークショップ「膵臓移植−日本腎膵臓移植の現状と将来への展望」では、特に重篤な1型糖尿病患者救命という視点から移植の実状について議論が交わされた。

 セッションでは、膵臓移植登録の現況について、膵臓移植中央調整委員会から海老名総合病院の森康昭氏が報告。移植の現況については、東京女子医科大学糖尿病センターの馬場園哲氏らが「わが国における膵移植の展望―心停止あるいは脳死ドナーからの膵移植12例の経験から―」、大阪大学大学院病態情報内科学の松久宗英氏が「大阪大学医学部附属病院で施行された膵臓移植3症例の経験から」、福島県立医科大学医学部内科学の山田大志郎が「福島県立医科大学における膵腎同時移植候補者登録の現況と移植術後の経過」、九州大学大学院病態機能内科学の岩瀬正典氏が「脳死ドナーからの膵腎同時移植2例における移植膵内分泌機能の評価」と題して、それぞれ発表した。

 これらの発表によると、日本では1985年に最初の膵移植が行われ、脳死移植法案成立前後の一時中断を経て、現在までに計23例の膵移植が実施されている。インスリン治療離脱ができた例も数例あるいう。また、脳死関連法案成立後に8例の膵移植が行われたが、心停止ドナーからの移植でも結果は良好のようである。

 移植術後は、ほぼ術直後から数週間以内に血糖値は正常化し、移植膵が機能する。最長で11年間生着している例もある。しかし、術後割合早期に血栓や拒絶反応が発生したり、免疫抑制剤の副作用が強く移植膵摘出もやむをえなかった例もあるという。

 移植希望者の受付は、膵臓移植中央調整委員会が窓口となり、2段階の適応判定を受けて登録されるが、今年初めまでに118人が申請、56人が登録され移植待機中である。このうち、「適応無し」と判定された多くはインスリン分泌(機能残存)が認められた患者だが、合併症のため不適応となる場合もあった。待機期間については、3年に及ぶ患者も存在している。

 尊いドナー(家族)の志に添うためにも、移植ネットワークの構築は欠かせない。同時に、全ての患者への移植さらに生着はほぼ不可能であり、倫理的問題の解決のためにも、移植を「掛け橋」と捉えた上で、根治治療法の開発に期待したい。

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