2002.05.12

【日本輸血学会速報】 安全な血液製剤の国内自給目指す「血液製剤新法」、近く参院で審議

 国内自給のための献血推進に、法的な裏付けを−−。厚生労働省医薬安全局血液対策課の鈴木英明氏は、5月10日に開催された日本輸血学会輸血問題検討部会のシンポジウムで講演。近く参議院で審議が始まる「血液製剤新法」の骨子を提示し、血液事業に関する新たな法的枠組みがどのようなものになるかを解説した。

 血液事業に係る法律として検討が進められているのは、献血・血液製剤に固有の部分をカバーする「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」と、生物由来製品に共通の課題解決のために必要な「(改正)薬事法」の二つ。前者は、1956年(昭和31年)に制定された「採血及び供血あっせん業取締法」(採供法)を改正するものだ。

 採供法が制定された当時は、民間の血液銀行が次々と誕生し、血液提供者からの過剰採血などが問題となっていた。そのため採供法は、採血業の規制が主体となっており、献血を基本とする現在の血液事業にはそぐわない側面があったという。

 「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」では、法律の目的を拡大し、新たに1.血液製剤の安全性向上、2.安定供給の確保、3.適正使用の推進−−の三つを追加。これらに加え、公正に血液事業を運営することを基本理念として設定し、国や地方自治体、採血事業者、製造・輸入業者と医療関係者の責務を明確化した。

 最も大きな改正点は、これまで法的な根拠がなかった、血液(製剤)の「国内自給推進」や「献血推進」に、法律面での“お墨付き”を与えた点。具体的には、国の責任で、血液製剤の需給見込みや原料血漿、献血の確保目標量を毎年設定する。公正さや透明性を保つ意味で、こうした計画については薬事・食品衛生審議会での諮問を受けることとしている。

 アルブミンで7割、グロブリンで3割と相当量を輸入に頼っている血液製剤については、「血液(製剤)は人体の一部であり、国際的な公平性、倫理性を考えても、国内の無償献血(を材料とすること)が原則」(鈴木氏)との考えに基づき、国が策定した需給見通しに則って採血事業者や製造・輸入業者に需給計画を提出させる。併せて、医療機関での適正使用を推進するために、血液製剤の使用ガイドラインの見直しなども進めるという。

 なお、血液製剤の需給見通しの中には、血漿由来の分画製剤だけでなく、遺伝子組み換え法で作製された、ヒトの血液に拠らない「組み換え製剤」も含まれている。これは、昨年発生した、組み換え血液凝固第8因子製剤の欠品問題を受けたもの。鈴木氏は「安定供給を図るという観点からは、現在は全面輸入に頼っている遺伝子組み換え製剤についても適切な位置付けが必要」と述べ、同法の今国会での成立を目指したいと話した。

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