2002.05.07

乳児期の流行性感染症への罹患、アトピー発症を抑制せず

 「子供のうちに水痘やおたふく風邪などにかかると、アレルギー性疾患になりにくくなる」というのは、どうやら迷信だったようだ。約900人を対象にデンマークで行われた調査で、こうした流行性感染症への罹患歴と、アトピー性疾患の発症率との間には、何ら相関がみられないことが明らかになった。それどころか、はしか(麻疹)に関しては、1歳未満で罹患した人の方が7歳までに罹患していなかった人よりもアトピー性疾患にかかる確率がはるかに高かったという。研究結果は、Thorax誌5月号に掲載された。

 いわゆる発展途上国では、衛生状態の改善を受け、ここ数十年で感染症への罹患率は大幅に下がった。一方で、鼻炎や皮膚炎、喘息などアレルギー性疾患への罹患率は上昇しており、「乳幼児期に感染症にかからないと免疫系の成熟が遅れる」との“衛生仮説”(hygiene hypothesis)が提唱された。

 デンマークStatens血清研究所のP. Bager氏らは、感染症とアトピー性疾患との関連を調べた疫学研究では、この仮説に対する明確な結論が出ていないことに着目。罹患時期との相関を調べた研究もないため、流行性感染症にいつ罹患したかがわかっている妊婦889人のデータを解析して、これらの感染症罹患歴とアトピー性疾患の発症率との関連を調べた。アトピー性疾患は、12種類の吸入抗原に対する免疫グロブリンE(IgE)値が高値(0.35kU/l以上)の場合を「発症あり」とした。

 その結果、おたふく風邪(流行性耳下腺炎)や風疹、水痘に関しては、1歳までに罹患した人と7歳まで罹患しなかった人とで、アトピー性疾患の発症率は変わらないことが判明。はしかについては、1歳までに罹患した人の方が、7歳まで罹患しなかった人よりも、アトピー性疾患の発症率が3.36倍(95%信頼区間:1.47〜7.68)高いことがわかった。

 さらに、2歳より前に何らかの感染症に罹患していた人では、アトピー性疾患を発症するリスクが有意に高いことも明らかになった。“衛生仮説”とは全く正反対の結果が得られたわけで、研究グループは「はしかや風疹、水痘などに、たとえごく早期に罹患したとしても、アトピー性疾患の発症を抑える効果はないようだ」と結論付けている。

 この論文のタイトルは、「Age at childhood infections and risk of atopy」。現在、こちらで全文を閲読できる(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。

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