2002.04.26

非小細胞肺癌のセンチネルリンパ節、術中同定に成功

 米国NorthWestern大学の研究グループは、非小細胞肺癌(NSCLC)のセンチネルリンパ節を術中に同定することに成功、Journal of Clinical Oncology(JCO)誌4月15日号で報告した。腫瘍に放射性同位元素を注入し、一定時間後にγ(ガンマ)線で元素の集積部位を検出する「γプローブ法」を用い、同定率86%でセンチネルリンパ節を検索できたという。γプローブ法は乳癌などでは既に広く行われているが、肺癌における有用性が示されたのは初めて。

 センチネルリンパ節は、「見張りリンパ節」とも呼ばれる、癌の転移診断で最も重要なリンパ節。腫瘍からのリンパ流を最初に受けるため、領域リンパ節の中で転移の可能性が一番高い。センチネルリンパ節の転移状況を調べれば、領域全体のリンパ節転移の有無が把握でき、術式や術後の治療などを的確に選択できる。しかし肺癌では、ごく早期の癌でもリンパ節転移の確率が高いにもかかわらず、リンパ節がどこにあるかを見極める方法がなかった。

 そこで研究グループは、乳癌などのセンチネルリンパ節生検で臨床応用されているγプローブ法が、肺癌でも応用可能かを検証。1998年7月から2001年3月までに登録された、腫瘍が切除可能なNSCLC患者100人に対し、術中にγプローブ法を施行してセンチネルリンパ節を検索した。リンパ節転移の診断には、ヘマトキシン・エオジン(HE)染色と免疫染色(IHC)の2種類の方法を用いた。

 対象患者の癌種で最も多いのは腺癌の55人で、以下扁平上皮癌(23人)、大細胞癌(8人)と続く。臨床病期分類では、1A期24人、1B期23人、2A期6人、2B期21人、3A期14人、3B期3人だった。研究グループは、肺癌切除手術の術中に、病巣に放射性同位元素のテクネシウム99(99mTc)を0.25〜2ミリキュリー(mCi)注入。30分後に、携帯式γ線探知器でセンチネルリンパ節がどこにあるかを調べた。

 その結果、良性腫瘍や炎症病変などの理由で除外された9人を除き、残りの91人中78人(86%)でセンチネルリンパ節の同定に成功。78人のうち、センチネルリンパ節に転移がなく、他のリンパ節にも転移が認められなかったのは69人(88.5%)だった。一方、センチネルリンパ節転移が陽性だった21人では、転移がセンチネルリンパ節のみに限局していたのは9人だった。

 また、HE染色法とIHC法との比較では、HE染色法で発見できなかった微小転移が、IHC法では7例で確認された。

 リンパ節転移の有無は癌の予後にかかわる最も重要な因子であり、癌の治療方針も大きく左右する。術中に迅速かつ正確にリンパ節転移の有無を判断できれば、術式などの治療法の選定に大いに役立つ。研究グループは、「センチネルリンパ節に絞って生検を行い、最も感度の高いIHCなどの方法で転移を調べれば、微小転移を含むより正確なリンパ節情報を得られる」と強調する。

 ただし、今回の検討で得られた同定率は86%と、決して満足のいく成績ではなく、同定率をさらに向上させる工夫が必要だ。こうした課題は残るものの、NSCLCに対しても、「センチネルリンパ節生検に基づく最適な治療」が実現する可能性が示された意義は大きい。NSCLCの治療戦略改善に向け、大きな一歩が踏み出されたと言えるだろう。

 この論文のタイトルは、「Intraoperative Sentinel Lymph Node Mapping in Non Small-Cell Lung Cancer Improves Detection of Micrometastases」。アブストラクトは、こちらまで。(張辛茹、医療ジャーナリスト)

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