2002.04.22

【日本小児科学会速報】 A型インフルエンザへのセフェム系経口抗生剤投与、症状を改善せず 

 幼児に対するA型インフルエンザ治療において、セフェム系経口抗生剤の投与は臨床症状の改善に寄与しない−−。社会保険中京病院小児科の柴田元博氏らが4月21日、日本小児科学会学術集会のワークショップ「Common disease治療の標準化」で発表した。また、アマンタジンの投薬日数別に治療効果についても比較したが、3〜5日間の場合は特に相違がなかった。
 
 検討対象は、2000年から2001年シーズンに名古屋大学小児科関連病院臨床研究グループの14施設において、第3病日以内に外来治療を開始した1歳以上7歳未満の子供。体温の数値、咳嗽や鼻汁の有無などについては、保護者に外来経過表を手渡し、記入後に返送してもらった。

 治療プロトコルについては以下の通り。アマンタジン(商品名:シンメトレル)は担当医の判断により投与の有無を決定。投与量は体重1kg1日当たり3〜5mgで、投与日数は3〜5日間。抗生剤は封筒法により投与群もしくは非投与群に割り付け、セフポドキシム プロキセチル(商品名:バナン)、セフジニル(商品名:セフゾン)、セフジトレン ピボキシル(商品名:メイアクト)、セフテラム ピボキシル(商品名:トミロン)のいずれかを投薬。

 170人から同意が得られたが、経過表の未返送などにより最終的な分析対象者は107人だった。それらの患者の平均年齢は3歳7カ月で、男性が55人、女性が52人。アマンタジンは107人中100人が、抗生剤は55人が投与されていた。ワクチン接種歴があったのは21人で、そのうち19人は2回接種だった。

 治療開始後の38度以上の発熱日数をみると、アマンタジン3日投与群(46人)は1.6日、4日投与群(26人)は2.0日、5日投与群(28人)は2.0日であり、また、37度以上の発熱日数は、3日投与群が2.7日、4日投与群が3.5日、5日投与群が3.5日で、いずれも有意差はなかった(p>0.05)。咳嗽や鼻汁についても、症状を点数化して比較したが、投与日数による差はみられなかった。

 また、抗生剤投与の有無別に38度以上の発熱日数をみると、投与群が1.8日、非投与群が1.8日。37度以上の発熱日数は、投与群が3.0日、非投与群が3.3日で、ともに有意差はなかった(p>0.05)。さらに、咳嗽や鼻汁も抗生剤投与による違いもなかった。

 こうした結果を踏まえ、柴田氏は、「アマンタジンの投与日数は、三日間で十分ではないか。抗生剤については、二次感染を防ぐ効果を一部の患者では期待できるが、耐性菌の出現や医療費などを考慮すれば、一律に投与する必要性はないだろう」との見解を示した。また、「多くのケースで38度以上の発熱は治療開始後三日以内であったため、これを参考に二次感染のチェックを行い、抗生剤の投与を検討するのも一つの方法ではないか」と語った

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