2002.04.16

【日本臨床皮膚科医学会速報】 抗アレルギー薬・抗ヒスタミン薬の処方動機、診療所と大学病院に大きな差

 神奈川県下の6皮膚科診療所と1大学病院皮膚科を対象とした調査で、湿疹などの皮膚炎患者に抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬を経口投与する際の処方動機が、診療所と大学病院とでは大きく異なることがわかった。両者で処方された薬剤の種類や頻度に大きな差はなかったとのことだが、処方動機では診療所で「止痒効果が高い」、大学病院では「1日1回服用」が最も重視されていたという。調査結果は、4月14日の一般演題でポスター発表された。

 この調査を行ったのは、湘南皮膚科(平塚市)の栗原誠一氏を中心とする神奈川県下の6皮膚科診療所と、東海大学(伊勢原市)皮膚科の研究グループ。調査対象は、2000年7月から12月にかけて受診した、蕁麻疹、湿疹・皮膚炎またはアトピー性皮膚炎の患者のうち、新たに抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬を処方、あるいは処方を変更した患者とした。

 研究グループは、上記の条件に該当した患者全例について、年齢や疾患名、処方した薬剤名に加え、処方動機を17項目の選択肢の中から選択。調査には診療所、大学病院共に同一様式の調査票を用い、集まった調査票1448枚から記載が不備なケースを除いた1393症例(診療所1305症例、大学88症例)を解析対象とした。原疾患は6割強が湿疹・皮膚炎、2割強が蕁麻疹で残りがアトピー性皮膚炎だった。

 その結果、総症例数に占める処方動機の選択数(選択率)は「止痒効果が優れる」がトップで74.9%、以下「安眠できる」(21.6%)、「1日1回服用だから」(19.5%)の順となった(複数回答あり)。この傾向に疾患による差は「ほとんどなかった」(調査結果を発表した東海大学皮膚科講師の松山孝氏)が、患者の年齢層による違いはみられ、15歳未満の小児患者(253例)では2位に「小児への安全性が高い」(62.5%)、3位に「飲みやすい」(31.2%)が入り、65歳以上の高齢者(203例)では2位に「老人に安心して使える」(48.8%)、4位に「薬物相互作用が少ない」(24.1%)がランクされた。

 興味深いのは、大学病院と診療所とで、処方動機の選択率に大きな違いがみられたことだ。大学病院での処方動機のトップは「1日1回服用」(54.5%)で、以下「眠気が少ない」(30.7%)、「副作用が少ない」(20.5%)と続く。一方の診療所では「止痒効果に優れる」(78.6%)が処方動機としては圧倒的に多く、次いで「安眠できる」(22.5%)、「薬価が安い」(20.5%)となった。

 この結果について、松山氏は「抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬では、一般には『眠気が少ない』薬が好まれるとされており、これが処方動機のトップに来なかったのは意外。『安眠できる』や『薬価が安い』が診療所に多く、『1日1回服用』が大学病院で多かったのは、大学病院の受診者に勤労者が比較的多く、逆に小児患者は全例診療所を受診していたためではないか」と考察する。同大皮膚科教授の小澤明氏は「大学病院と診療所とで、同一の調査票を用いてこのような調査が実施可能であることを示せた意義も大きい。今後も継続的にこうした調査を行っていきたい」と話した。

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