2002.04.11

中間型インスリンの就寝前分割注射、1型糖尿病患者の血糖コントロールを改善

 夕食前に速効型インスリンと中間型インスリンを同時に注射するよりも、夕食前は速効型インスリンのみとし、中間型インスリンは就寝前に注射する方が、1型糖尿病患者の血糖コントロールが改善することがわかった。夜間の低血糖発症頻度も半分以下になったという。研究結果は、Annals of Internal Medicine誌4月2日号に掲載された。

 1型糖尿病患者に対するインスリン療法の基本は、基礎分泌を中間型インスリン、追加分泌を速効型インスリンで代替するというもの。「朝食前と夕食前に、速効型インスリンと中間型インスリンをそれぞれ注射する」というのが基準的な注射法の一つだ。しかし、夕食前には速効型インスリンのみを注射し、中間型インスリンの注射は睡眠前に行うとの治療戦略(分割注射法)が有用との報告もあり、どちらの治療戦略が優れているかとの結論は出ていなかった。

 そこで、イタリアPerugia大学内科のCarmine G. Fanelli氏らは、この二つの治療戦略を比較するクロスオーバー試験(試験の前半と後半で治療法を入れ替える試験)を計画。インスリン分泌能を反映するC-ペプチド値が低値の1型糖尿病患者22人(平均年齢29歳)の協力を得て、両治療法を4カ月ずつ実施して血糖コントロールなどを評価した。

 その結果、夕食前の注射を分割しない、従来の注射法では夜間の低血糖が平均3.6日に1回起こったのに対し、分割注射法ではこれが10日に1回と、夜間低血糖の頻度が半分以下になることが判明。空腹時血糖値も、従来注射法で平均160mg/dl、分割注射法で平均137mg/dlと、有意に低くなった。長期的な血糖コントロール状態を反映するヘモグロビンA1c(HbA1c)値も、従来法の7.5%と比べ分割注射法では7.0%と、有意な改善がみられた。

 もちろん、食事のタイミングも含めた生活リズムは人によって異なるため、全ての患者にとって分割注射法が最善とは言い難い。だが、夜間に低血糖が頻繁に起こる場合や、HbA1c値の高値が続く場合などは、分割注射法を試してみる価値がありそうだ。

 この論文のタイトルは、「Administration of Neutral Protamine Hagedorn Insulin at Bedtime versus with Dinner in Type 1 Diabetes Mellitus To Avoid Nocturnal Hypoglycemia and Improve Control」。アブストラクトは、こちらまで。

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. トイレにこそ、人間の尊厳がある Dr.西&Dr.宮森の「高齢者診療はエビデンスだけじゃいかんのです」 FBシェア数:479
  2. 「どうしてこんな急に!」急変時の家族対応は 平方眞の「看取りの技術」 FBシェア数:12
  3. 輸液の入門書 医学書ソムリエ FBシェア数:0
  4. オピオイドの用量調節とスイッチングの基本方法 国分秀也の「ゼロから学ぶオピオイド」 FBシェア数:105
  5. わいせつ容疑の外科医、初公判で無罪を主張 「乳腺科医のプライドにかけて無罪を主張します」 FBシェア数:582
  6. 「真面目なメンタルケア」が真面目ちゃんを苦しめる 研修医のための人生ライフ向上塾! FBシェア数:0
  7. 難治性皮膚潰瘍を再生医療で治す リポート◎大リーガー田中将大投手のケガも治したPRP療法とは? FBシェア数:20
  8. インフル入院患者、届出数が100人を超える インフルエンザ診療Next:トピックス FBシェア数:109
  9. 医療者は認知症家族との暮らしが分からない 患者と医師の認識ギャップ考 FBシェア数:196
  10. 下血? 血便? 赤いの? 赤くないの? 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」 FBシェア数:180