2002.04.04

カナダ厚生省、妊婦全例へのGBSスクリーニングを推奨

 カナダ厚生省(Health Canada)はこのほど、新生児へのB群溶血性連鎖球菌(GBS、B群溶連菌)感染予防に関する勧告文を発表した。垂直感染の予防に向け、妊娠35〜37週でGBSのスクリーニング検査を行い、保菌者には分娩時に抗菌薬投与を行うよう推奨するもの。勧告文はCanadian Medical Association Journal誌4月2日号に掲載された。

 GBSは体内の常在菌の一つで、通常は感染してもほとんど症状が現れない。しかし、新生児がGBSに垂直感染すると、敗血症や肺炎、髄膜炎などを起こし、5〜10%が死亡する。

 新生児へのGBS感染を予防するため、わが国の医療機関でも、妊婦に対するスクリーニング検査を行っている施設は少なくない。ただし、妊婦のおよそ1割はGBSを保菌しているが、分娩時に新生児に感染する確率は1%未満と極めて低く、保菌率の高さと垂直感染率の低さから、全例へのスクリーニング検査に対しては賛否両論があった。

 カナダ厚生省の予防医療諮問委員会(CTFPHC)は、GBSのスクリーニング検査や、GBS保菌者への分娩時抗菌薬投与に関する研究論文を網羅的に検索。無作為化試験で有用性を調べた報告はないものの、観察研究では一定の有用性が示唆されているとして、全妊婦へのスクリーニング検査を推奨した。

 保菌者に対する分娩時抗菌薬投与に関しては、1.保菌者全員に抗菌薬投与を行う、2.保菌者のうち垂直感染の危険因子を持つ人だけに抗菌薬投与を行う−−という、二つの予防戦略があることを提示。いずれの戦略も有用性が示唆されているが、危険因子の保持者だけに投与対象を絞った方が、治療必要人数(NNT)は少なくなるとした。

 垂直感染の危険因子として諮問委員会が挙げたのは、1.37週未満の早産、2.破水から分娩まで18時間以上かかる場合、3.母体の38度以上の発熱、4.尿中へのGBSの排出、5.GBS感染児の出産経験−−の五つ。ただし、米国小児科学会や米国疾病管理・予防センター(CDC)などが推奨する、「GBSスクリーニング検査を行わず、危険因子保持者全例に抗菌薬を投与する」との予防戦略については、有用性を評価するだけのエビデンスに乏しいとしている。

 また、抗菌薬の第一選択はペニシリンで、出産の4時間以上前に、500万単位以上を静脈内投与。分娩が長引く場合は、4時間おきにペニシリン250万単位を追加投与する。ペニシリンにアレルギーがある妊婦に対しては、代替薬としてクリンダマイシン(900mgを8時間おき)またはエリスロマイシン(500mgを6時間おき)が推奨されている。

 この勧告文のタイトルは、「Prevention of group B streptococcal infection in newborns」。現在、全文をこちらで閲読できる。勧告文の根拠となった研究評価論文「Prevention of early-onset group B streptococcal(GBS) infection in the newborn: systematic review and recomendations」は、近くCTFPHCのホームページで公開される予定だ。

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