2002.04.02

【日本内科学会速報】 わが国でCASTの教訓は生かされているのか

 愛知県立尾張病院院長の外山淳治氏は3月28日、宿題報告「抗不整脈薬から心不全治療薬へ」の中で、「CASTの教訓が生かされないままに抗不整脈薬が使われているのではないか」と指摘、安易な使用に対して注意を喚起した。

 CASTとは、Cardiac Arrhythmia Suppression Trial 1という名称の臨床試験で、Vaughan Williams分類のクラスI薬(Naチャネルブロッカー)に、急性心筋梗塞後に無症状で経過しながら心室性期外収縮(連発性も含む)を合併する患者の突然死を予防する効果があるかどうかを調べたもの。具体的には、クラスI薬(FlecainideまたはEncainide)に著効を示した症例(1550例)を2群に分け、一方に偽薬をもう一方に実薬を投与する無作為二重盲検試験を行った。



◆図1 抗不整脈薬の売上額の推移(伊藤氏の発表データをもとに作成)


 しかし、10カ月後の中間検討(1989年)で、実薬群の方が偽薬群より死亡率が高い(6.4%対2.2%)ことが判明し、この試験は中止となった。これ以降、欧米では、クラスI薬の薬効の見直しが行われ、心筋梗塞後の患者ばかりかその他の器質的心疾患に合併した不整脈に対しても患者の生命予後の改善が期待できないと判断され、その適応が制限されたという。

 一方日本の状況は、伊藤氏らの調査によると、1987年から7年間でクラスI群薬の使用は増大し、CASTの中間報告後(1990年以降)も増加傾向にあった(図1参照)。伊藤氏は同時に、ホルター心電図の販売台数の推移(図2参照)を提示。「わが国の代表的な抗不整脈薬の販売額とホルター心電図の販売台数とは相関しているように見える」とも指摘した。

 この理由について伊藤氏は、「恐らくはホルター心電図の普及によって不整脈、特に心室性期外収縮の検出率が高まった結果、不整脈が見つかった患者に対して、単に(不整脈を)抑止する目的で(抗不整脈薬)が処方されている状況であろう」と推察した。


 


◆図2 ホルター心電図の販売台数の推移(伊藤氏の発表から作成)

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