2002.03.27

5-FU静注による重度の副作用、女性での発生率が高いことが判明

 フルオロウラシル(5-FU)の5日間静注療法を対象としたメタ分析で、グレード3以上の重い副作用を経験する患者の比率が、男性よりも女性で有意に高いことが明らかになった。治療効果に男女差はなく、副作用のうち重度の悪心・嘔吐の発生率には男女で違いがなかったが、重度の白血球減少や脱毛などの発生率は女性で有意に高かったという。女性患者に5-FU投与を行う際は、特に副作用に気を配る必要がありそうだ。研究結果は、Journal of Clinical Oncology(JCO)誌3月15日号に掲載された。

 この研究を行ったのは、米国MayoクリニックのJeff A. Sloan氏ら。Sloan氏らは、米国の癌治療研究グループ「NCCTG」(North Central Cancer Treatment Group)が実施した過去の臨床試験のメタ分析で、「5-FU治療では女性の方が男性より副作用発生率が高い」との指摘がなされた点に着目。NCCTGがその後実施した、副作用が詳細に記録された五つの臨床試験を対象に、新たにメタ分析を実施した。

 今回のメタ分析の対象は、5-FUの5日間静注療法をベースとした大腸癌治療に関する臨床試験。参加患者は総計2448人で、うち男性は1335人、女性は1093人だった。5-FUはすべて1回静注(ボーラス)で投与されており、投与量は体表面積1m2当たり370〜450mgで、併用薬としてロイコボリンが使われていた。

 研究グループは、患者の口内炎、白血球減少、脱毛、下痢、悪心、嘔吐などの副作用の発生率を評価指標として分析。男女共98%の患者が何らかの副作用を経験しているが、全ての副作用において女性の方が男性より発生率が有意に高い(p<0.02)ことがわかった。

 グレード3以上の重篤な副作用では、男女差はより顕著になり、発生率は男性の40%に対し女性では53%と有意に高くなった(p<0.001)。特に、口内炎(女性19%対男性11%)や白血球減少(18%対10%)、脱毛(3%対1%)で男女差が大きくなった。

 治療のコース別にみた場合も同様で、どのコースでも女性患者における副作用の発生率はすべて男性より高かった。また、副作用により治療の2、3コース目にやむを得ず投与量を下げた患者の比率も、女性(46%、51%)は男性(34%、38%)より有意に多かった(p<0.0001)。一方、治療の奏効率や5年生存率においては、男女間に差はみられなかったという。

 なお、性別によって副作用の発生率がなぜ異なるのかは不明であり、5-FUの「副作用における男女差」に関する詳細な研究は今後も必要だ。だが、第一線で腫瘍治療を行っている専門医には、「女性患者に5-FUを用いる場合、副作用をどうコントロールすればいいか」という課題に対し、現場で答えを出すことが今まさに求められていると言えるだろう。

 この論文のタイトルは、「Women Experience Greater Toxicity With Fluorouracil-Based Chemotherapy for Colorectal Cancer」。アブストラクトは、こちらまで。(張辛茹、医療ジャーナリスト)

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