2002.03.25

中国で自殺が若者の死因トップ、農村女性の高自殺率が顕著に

 中国でこのほど実施された死因推計調査で、「自殺」が死因の第5位を占めたことが明らかになった。特に、15〜34歳の若者では自殺が死因のトップで、死亡者の5人に一人は自殺で亡くなっている。なかでも農村の若い女性の自殺率は、人口10万人当たり37.8にも上るという。米国Harvard大学医学部のM. R. Phillips氏と北京自殺研究予防センターの共同研究による結果で、Lancet誌3月9日号に掲載された。

 研究グループは、中国の衛生省(日本の厚生労働省に当たる)から提供された1995〜1999年の死亡数統計データを基に、中国国家統計局の地域人口動態データで補正し、性別、年齢別、地域別の自殺率を推算した。

 その結果、1995〜1999年の中国における自殺者は年間およそ28万7000人で、自殺率は人口10万人当り23人となることが判明。これは総死亡の3.6%に相当し、死因としては脳血管障害、呼吸器障害、肝臓癌、肺炎に次ぐ5番目となった。さらに、15〜34歳の若者では、自殺による死亡は総死亡の19%に達した。

 地域別では、すべての年齢集団で農村の自殺率は都市より3倍以上高く、女性の自殺率は男性よりも25%高かった。特に、農村の若い女性の自殺率は、人口10万人当たり37.8と際立って高くなった。

 日本も含めほとんどの国では、農村に住む人よりも都会に住む人の方が自殺率が高く、また自殺で亡くなる人は男性が女性より多い。総じてみると、社会的圧力による心理負担などが原因で、中高年男性の自殺率が高いことが特徴だ。しかし、中国では、全体の自殺率は世界的には中レベルに属しているが、「農村と女性で自殺率が高い」という独特のパターンを示している。

 研究グループは、「これらの違いは主に農村の若い女性の高い自殺によるものだ」と考察。農村の若い女性で自殺率が高い原因として、1.農村の女性は社会地位が非常に低い、2.中国には自殺に対する強い宗教的な縛りがない、3.農村では農薬や殺虫剤(有機燐化合物殺虫剤)が簡単に入手できる、4.農村では医療施設や医者が不足しており、農薬中毒に関して十分に訓練された医者の数が都会よりもはるかに少ない−−などを挙げた。

 「都市と農村の差を無くす」ことと「男女平等」は、中国共産党が60年間にわたって目指している目標でもある。しかし、中国農民が直面している現実はまだ厳しいようだ。研究グループは、「中国の精神衛生分野における新たな課題として、中国における自殺パターンに則した予防法を、早急に開発しなければならない」と呼びかけている。

 この論文のタイトルは、「Suicide rates in China, 1995-99」。現在、全文をこちらで閲読できる(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。(張辛茹、医療ジャーナリスト)

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