2002.03.22

【ACC '02速報】 アメリカ人の善玉コレステロール、この25年で10%低下

 米国で親子2世代を対象に行われた調査で、25年前に30歳代だった人よりも、今の30歳代の人で、善玉コレステロールの値が10%も下がっていることが明らかになった。今の30歳代の人の方が、親の世代よりも“健康的”な生活をしていることもわかり、「上がっていいはずの善玉コレステロール値が下がった」との結果に研究者は頭を悩ませている。研究結果は、3月19日のポスターセッションで発表された。

 この研究を行ったのは、米国Cincinnati小児医療センターのJohn A. Morrison氏ら。Morrison氏らは、25年前に行われた「プリンストン研究」で、血中の脂質や生活習慣の調査を受けた人たちの子供を対象に、同じ内容の調査を実施。この25年間で、アメリカ人の生活習慣がどの程度変わり、心臓病の原因となる血中の脂質にどんな変化が現れたかを検討した。

 Morrison氏らが特に注目したのは、善玉コレステロールと呼ばれる高比重リポ蛋白(HDL)コレステロールの値。HDLコレステロール値が高いと、心臓病にかかりにくいためだ。HDLコレステロール値は、飽和脂肪酸を多く含む食事を食べる人や、タバコを吸う人では低いことがわかっている。

 25年前の、親の世代を対象とした調査では、タバコを吸う人は全体の42%を占めており、食事中の脂肪の量や飽和脂肪酸の量(カロリー比で評価)も、それぞれ39.9%、14.7%と高かった。一方、今回の調査で、子供の世代では喫煙率は26%と、親の世代より20%近く下がり、食事中の脂肪や飽和脂肪酸の量もそれぞれ37.1%と11.5%にまで下がっていた。

 米国では20年以上、「禁煙キャンペーン」や「ローファット・キャンペーン」が繰り広げられており、「喫煙率の低下や食事の質の改善に、こうしたキャンペーンは大きな成果を挙げた」とMorrison氏は胸を張る。ところが、HDLコレステロールの値を比べると、親の世代では50.6mg/dlなのに対し、子供の世代では45.3mg/dl。つまり、生活は健康的になったのに、善玉コレステロールの値はかえって下がっていることが明らかになった。

 そこでMorrison氏らは、親の世代と子供の世代とで、タバコや食事以外に変わった点がないかを調べた。すると、体脂肪指数(BMI)が、子供の世代で大きく増えていることがわかった。

 親の世代の平均BMIは25.7だが、子供の世代の平均BMIは28.9。明らかに太りすぎで、「多変量解析」という統計学的な方法による検討でも、BMIがタバコや食事の質よりHDLコレステロール値に大きな影響を与えていることが明らかになった。

 この結果についてMorrison氏は、「どんなに健康的な食事でも、食べ過ぎては意味が無い」と強調。また、HDLコレステロール値はよく体を動かす人では高いが、「子供の世代ではテレビを見る時間が長くなって、親の世代よりも体を動かさず、それが直接HDLを下げたり、肥満につながった可能性もある」とMorrison氏は言う。こうした点を確かめるため、Morrison氏らは現在、親と子の世代で食事の量や運動量、余暇の過ごし方、テレビを見る時間などがどう変わったかを調べている。

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