2002.03.20

【ACC '02速報】 米国の脂質管理ガイドライン、高齢者以外の心疾患リスクを過小評価か

 比較的若年で心筋梗塞を起こした人では、半数で心疾患の危険因子が0〜1個と、米国の脂質管理ガイドラインでは「軽リスク」に分類されることがわかった。現行の管理基準では、介入が必要な人の半数を見落とす恐れがあることを示すもの。若年者に対しては、新しい危険因子の導入や危険因子の重み付けの変更など、新たな管理基準が必要となりそうだ。研究結果は、3月19日のポスターセッションで発表された。

 この研究を行ったのは、米国Gundersen Lutheran医療センターのPaul Schoenfeld氏ら。Schoenfeld氏らは、ウィスコンシン州LaCrosse市で、1998年から2000年の3年間に初回の心筋梗塞で入院した若年者(男性55歳、女性65歳未満)220人の心疾患危険因子を調査。米国の脂質管理ガイドラインに当てはめ、どの程度の人があらかじめ「心疾患の危険性が高い」ことがわかっていたかを評価した。

 米国では1991年に、米国コレステロール教育プロジェクト(NCEP)が「成人治療パネル」(ATP)という脂質管理基準を発表。2回の改訂を経て、最新版のATP3(2001年)では、総コレステロール(TC)値が200mg/dl未満、高比重リポ蛋白(HDL)コレステロール値が40mg/dl以上、トリグリセリド(TG)値が150mg/dl未満であれば「正常」と定義されている。

 ところが、実際に心筋梗塞を起こした若年者では、平均TC値が190mg/dl、HDLコレステロール値が43mg/dl、TG値が145mg/dlと、すべて正常範囲に入った。低比重リポ蛋白(LDL)値でみた場合も、23%が100mg/dl未満の「適正値」で、LDLが「高値」(160mg/dl以上)となったのは全体の16%に過ぎなかった。

 また、ATP3では、心疾患の家族歴、喫煙、高血圧、低HDLコレステロール(40mg/dl未満)と糖尿病の五つを心疾患の危険因子(発症予測因子)として採用しているが、調査対象者の50%は、危険因子を0〜1個しか持っておらず、ATP3に基づく判定では医学的な介入の対象にならないことが明らかになった。

 一方、肥満はATP3では心疾患発症予測因子として採用されていないが、調査対象者の実に82%が「過体重」(体脂肪指数(BMI)が25以上)で、BMIが30以上の「肥満」も全体の45%に達する。

 以上からSchoenfeld氏は、「若年者の心筋梗塞を防ぐには、血清脂質が異常値を示す前の段階から介入する必要があり、それには肥満や代謝異常症候群(metabolic syndrome;肥満、高血圧、高TG値、低HDL値、高血糖値を特徴とする症候群)などが良い指標となるのではないか」と考察。「次回のガイドライン改定時に、こうした指標が組み込まれることを期待したい」と述べた。

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