2002.03.20

【ACC '02速報】 サプリメントの臨床研究、実施数は補助金の額に依存

 「心臓を強くする」「悪玉コレステロールを下げる」「血管を若返らせる」−−。米国では循環器分野の疾患に対しても、様々な栄養補助食品(サプリメント)が使われているが、臨床的なエビデンスが豊富なサプリメントは、政府からの研究助成金も潤沢であることがわかった。米国国立衛生研究所(NIH)栄養補助食品局(Office of Dietary Supplements)のRebecca B. Costello氏らによる検討結果で、3月19日のシンポジウム「Complementary and Alternative Therapies for Cardiovascular Disease」で発表された。

 米国では1年間に、167億ドルのサプリメントが販売されている。最も多いのはビタミン類(58億ドル)で、次いでセント・ジョーンズ・ワート(オトギリソウ)やイチョウ葉などのハーブ系サプリメント(41億ドル)、運動選手向け栄養剤(15億ドル)、ミネラル類(12億ドル)と続く。うち、循環器疾患の予防や治療に用いられているサプリメントの市場規模は7億4500万ドルで、多い順にビタミンE(21%)、補酵素Q10(14%)、ニンニクエキス(12%)、脂肪酸類(8%)となっている(データはいずれも2000年)。

 Costello氏らは、代表的な医学論文データベースである「メドライン」を使い、循環器疾患に対して用いられているサプリメントの上位3種について、臨床研究がどの程度行われているかを調べた。その結果、ビタミンEについては臨床研究が104件行われているのに対し、補酵素Q10では10件、ニンニクエキスでも10件と、エビデンスの量に格段の違いがあることが明らかになった。

 次にCostello氏らは、これらのサプリメントの臨床研究に対して、NIHからどの程度の助成金が支給されているかを調べた。すると、ビタミンEの臨床研究には、これまで3600万ドルの助成金が出されていたのに対し、補酵素Q10やニンニクエキスへの研究助成金はほぼゼロで、「政府からの補助金の額がエビデンスの量に対する決定因子」(Costello氏)であることが示唆された。

 NIHは毎年、循環器分野のサプリメント研究に対して4600万ドルの助成金を支給しているが(1999会計年度実績)、その62%はビタミンB類(葉酸、B6、B12など)に対するもの。以下、脂肪酸類(10%)、ビタミンE(7%)、大豆蛋白(6%)、抗酸化物質(3%)と続くが、サプリメントの種類によって研究助成金額に大きな差がある点は否めない。

 “見込みのある”研究に大きな予算が付くのは世の常だが、Costello氏は「少なくとも一般市民が広く使用するサプリメントについては、科学的なエビデンスによる裏付けが必要」と強調。サプリメントなどの補助・代替医療と、通常の医療とが統合されるためにも、安全性や効果に対する科学的なエビデンスの集積を進めたいとした。

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