2002.03.19

【ACC '02速報】 スタチンの骨形成作用にビタミンD依存性、日本人対象の臨床研究が示唆

 金沢医科大学循環器内科の梶波康二氏らは、家族性高脂血症患者を対象に、スタチンの骨形成作用を検討。血中のビタミンD濃度と、骨代謝マーカーの変化率とに、正の相関があることを見出した。スタチンの骨形成作用を調べた過去の報告では、骨量増加作用などがあるとするものとないとするものがあり、明確な結論が出ていなかった。今回の研究結果は、骨量の増加にスタチンが「効く一群」があることを示唆するもので、今後の研究に影響を与えそうだ。梶波氏はこの研究結果を、3月18日のポスターセッションで発表した。

 臨床試験の対象は、家族性高コレステロール血症患者35人。うち女性は12人で全員が閉経後であり、対象者の平均年齢は52歳、平均総コレステロール値は356mg/dlだった。梶波氏らは、対象者が受けている脂質低下療法を4〜8週間中断(wash-out)した後、アトルバスタチンを12週間かけて1日量10mgから40mgへと漸増、40mgで12週間維持した。

 24週後の血清脂質は、総コレステロール値が平均356mg/dlから218mg/dl、低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール値が278mg/dlから145mg/dlにまで下がった。しかし、骨代謝マーカーに関しては、全員の平均値を取ると介入の前後で有意な違いはみられなかった。

 ところが、介入前の血中のビタミンD濃度との相関を調べると、ビタミンDが50pg/ml以上の人では、骨量が増える方向にマーカーが動いていることが判明。一方、脂質の低下量や介入前の副腎皮質ホルモン(PTH)値と、骨代謝マーカーの動きとには特に相関がみられなかった。

 この結果について、梶波氏は「ビタミンD値が高い人で、骨量が増える方向に骨代謝マーカーが動くことは確かだが、ビタミンDをスタチンに併用すれば骨量が増えるとまでは言えない」と考察。紫外線を浴びるとビタミンD値は高くなるため、ビタミンDの高値は、骨量の維持に役立つ「身体活動性の高さ」を反映しているだけとも考えられるためだ。こうした点の検証に加え、「骨折の予防効果を評価項目とした、5〜10年に渡る長期的な試験が必要になるだろう」と梶波氏は話した。

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