2002.03.19

【再掲】【ACC '02速報】 心房細動の治療戦略やクラミジア除菌の位置付けが明確化−−LBCT 1より

 3月18日に行われたスペシャルセッション「Late Breaking Clinical Trials(LBCT) 1」では、心房細動(AF)の2治療戦略の比較試験「AFFIRM」や、「クラミジア除菌」の有用性を調べた「AZACS」など、五つの臨床試験結果が発表された。

 「AFFIRM」と「RACE」は、いずれもAFの二つの治療戦略、すなわち心拍数の適正化(レート・コントロール)と洞調律化(リズム・コントロール)とを比較した試験。心不全患者は高率でAFを合併するが、その場合、抗不整脈薬などで洞調律化を図らなくても、それまでのジゴキシン治療にワルファリンカリウムを追加すればいい−−。こんな「新しい治療戦略」につながる結果が得られた。

 また、疫学的に虚血性心疾患との関連が示唆されている、Chlamydia pneumoniaeに関しても新しい知見が得られた。「クラミジアを除菌すれば予後が改善するか」という積年の疑問に対し、「AZACS」と「WIZARD」の2試験が解答を示した。試験結果を以下に紹介する。

◆ AFFIRM
(the Atrial Fibrillation Follow-up Investigation of Rhythm Management)

 2種類の心房細動(AF)治療戦略を比較した非劣性試験。心拍数の正常化(レート・コントロール)を目指す治療戦略が、標準的な治療戦略である洞調律化(リズム・コントロール)に匹敵する有用性があるかどうかを調べた。高齢の心房細動患者約4000人を、抗凝固薬の併用下、レート・コントロール群とリズム・コントロール群とに無作為に割り付けて予後を比較した。

 1次評価項目の総死亡率は、5年後の時点でもレート・コントロール群とリズム・コントロール群とでほとんど変わらず、安全性にも差がなかった。このことから、ジゴキシンやβ(ベータ)遮断薬などを用いる「レート・コントロール」戦略に、抗不整脈薬や電気的カルディオバージョンなどによる「リズム・コントロール」戦略と同程度の有用性が期待できることがわかった。

◆ RACE
(Rate Control vs. Electrical Cardioversion for Persistent Atrial Fibrillation)

 電気刺激で洞調律を保つ電気的カルディオバージョン(機械的リズム・コントロール)と比べ、ジゴキシンなどで心拍数を正常化する薬物療法(レート・コントロール)が劣ってはいないことを検証した試験。AF患者522人を無作為に2群に分け、治療戦略によって心合併症や出血などの発症率が変わるかを調べた。

 1次評価項目は死亡や重度の心不全、重度の出血などを合わせた「複合エンドポイント」。到達率は3年でレート・コントロール群が17.2%、リズム・コントロール群が22.6%であり、レート・コントロール戦略の非劣性が示された。死亡率は両群で変わらなかったが、死因はレート・コントロール群で出血と心不全、リズム・コントロール群で血栓性障害が比較的多く、高血圧合併者ではレート・コントロール群の方が予後が良好であるなど興味深い知見も得られた。

◆ AZACS
(Azithromycin in Acute Coronary Syndrome trial)

 急性冠症候群(ACS)患者に対し、抗菌・抗炎症効果を持つアジスロマイシンが予後を改善し得るかを調べたプラセボ対照二重盲検試験。ACSで入院した患者1439人を無作為に2群に分け、プラセボまたはアジスロマイシンを5日間投与した。実薬の投与量は初日が500mg、2日目以降が250mg。

 1次評価項目(6カ月後の死亡+非致死性心筋梗塞+再灌流療法の実施)には、両群で有意差は認められなかった。解析対象を急性心筋梗塞患者(826人)やChlamydia pneumoniaeへの感染者(932人)に絞っても結果は変わらず、ACS患者にアジスロマイシンを投与しても予後は改善されないことが明らかになった。

◆ WIZARD
(Weekly Intervention with Zithromax for Atherosclerosis and its Related Disorders)

 心筋梗塞の罹患歴があり、Chlamydia pneumoniaeに感染している人を対象に、アジスロマイシンの心筋梗塞再発予防効果を調べた。約7700人を無作為に2群に分け、プラセボまたはアジスロマイシンを2週間投与した。実薬の投与量は、最初の3日間が1日当たり600mg、残りの11日間が1週当たり600mg。

 現在まで約1.2年間追跡したが、心筋梗塞の再発や総死亡などの1次評価項目には、両群で違いが出ていない。1次評価項目とChlamydia pneumoniaeの抗体価にも関連はみられなかった。なお、実薬の投与後、比較的早期(半年)では、死亡または心筋梗塞の再発率が低い傾向が認められている。

◆ INTERACT
(Integrilin and Enoxaparin Randomized Assesment of Acute Coronary syndrome Treatment)

 急性冠症候群(ACS)患者を対象に、糖蛋白(GP)2b/3a受容体阻害薬のエプチフィバチドの併用下で、低分子ヘパリンのエノキサパリンまたは通常のヘパリンを投与して、両ヘパリンの有用性を比較した非劣性試験。対象患者数は746人で、30日後の効果(虚血性イベントの予防)と副作用(出血)を評価した。

 30日の追跡期間中、両群とも6割以上の患者に冠動脈造影検査が必要となり、両群とも3割が経皮的冠動脈インターベンション(PCI)、1割強が冠動脈形成術(CABG)を受けた。死亡または心筋梗塞の発症率はエノキサパリン投与群で有意に少なかった。重度の出血も、エノキサパリン投与群で有意に少なかった。今回の試験デザインではエノキサパリンの優位性は示せないが、少なくとも通常のヘパリンより劣ってはいないことが明らかになった。

■訂正■
 「強心薬」と表現した3カ所は「ジゴキシン」と改めました。

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