2002.03.14

進行性非小細胞肺癌の化学療法、4コース以上の継続は無意味

 進行性の非小細胞肺癌(NSCLC)患者を対象とした第3相臨床試験で、病気が進行するまで、あるいは副作用のため止めざるを得なくなるまで化学療法を続けても、治療効果は4コースで止めた場合と変わらないことがわかった。しかも、副作用は、治療を長く続けるほど増加するという。「抗癌剤投与をいつまで続けるか」という、悩ましい問題を議論する上で、大きなインパクトを持つデータとなりそうだ。研究結果は、Journal of Clinical Oncology(JCO)誌3月1日号に掲載された。

 この研究を行ったのは、米国North Calorina大学Lineberger癌センターのMark A. Socinski氏ら。Socinski氏らは、NCSLCに対する化学療法をいつまで続けるべきか、という「臨床上の大問題」に、真正面から取り組んだ。

 評価の対象とした化学療法は、進行性のNCSLCに対する第一選択として行われることが多い、カルボプラチンとパクリタキセルとの併用療法。21日間を1コースとし、4コースで投与を止めた場合と、原則として癌が増大するまで治療を続けた場合とで、治療効果が変わるかどうかを調べた。

 対象患者は、臨床病期が3Bまたは4の進行性NCSLC患者230人。全員、過去に化学療法を受けたことはない。これらの患者を、無作為に4コース投与群(114人)と持続投与群(116人)に割り付け、治療成績を比較した。評価項目は、治療の奏効率(ORR)、患者の1年、2年生存率と生活の質(QOL)とした。

 投与量と投与法は、3週間に1回、両薬の併用投与を行うというもの。まず、パクリタキセルを体表面積1m2当たり200mg、3時間かけて点滴静注し、その後カルボプラチンを6薬物濃度曲線下面積(AUC、薬物の滞留時間を反映する)分だけ投与した。なお、臨床試験の終了後、病気の進展が確認された場合は、第二選択の化学療法としてパクリタキセルを週1回、低用量(体表面積1m2当たり80mg)で投与した。

 その結果、病気が進行するまで化学療法を続けても、治療効果には4コースで止めた場合と差がないことが判明。奏効率は4コース投与群が22%、持続投与群が24%であり、患者の生存期間の中央値(6.6カ月対8.5カ月)、1年生存率(28%対34%)、2年生存率(15%対11%)にも両群で有意な差はみられなかった。患者のQOL評価でも、両群の間には有意差が認められなかった。

 一方、有害事象については、グレード3〜4の好中球減少や血小板減少、貧血、悪心、嘔吐などの発生率は両群に差がなかったものの、グレード2〜4の神経障害は持続投与群の方が有意に多かった。神経障害の発生率と抗癌剤の投与期間(コース数)とには正の相関があり、持続投与群では神経障害の発生率は27%と、4コース投与群の14%より約2倍も高かった。また、副作用による治療中止症例も、持続投与群の方が有意に多かった(19例対4例)。

 パクリタキセルにプラチナ製剤を併用する化学療法は、進行性NCSLC治療の主流になりつつある。しかし、最適な投与期間について、大規模な比較試験はほとんど行われてこなかった。研究グループは「カルボプラチンとパクリタキセルとの併用療法では、薬剤への反応は大半が治療最初の4コースに起こる。4コース以上投与しても、治療成績が変わらないばかりか、副作用の発生が多くなることに留意すべきだ」と強調している。

 この論文のタイトルは、「Phase III Trial Comparing a Defined Duration of Therapy Versus Continuous Therapy Followed by Second-Line Therapy in Advanced-Stage IIIB/IV Non Small-Cell Lung Cancer」。アブストラクトは、こちらまで。(張辛茹、医療ジャーナリスト)

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