2002.03.05

AHAとACSM、スポーツ施設への除細動器設置を勧告

 米国心臓協会(AHA)と米国スポーツ医学会(ACSM)は3月5日、フィットネスクラブなどのスポーツ施設に、誰でも使用できる形(パブリックアクセス)で自動体外式除細動器(AED)を設置するよう勧告した。勧告文は、AHAの学術誌であるCirculation誌3月5日号に掲載されたほか、近くACSMの学術誌であるMedicine & Science in Sports & Exercise誌にも掲載される。

 この勧告は、両会が1998年にスポーツ施設向けに発表した勧告、「AHA/ACSM Recommendations for Cardiovascular Screening, Staffing, and Emergency Policies at Health/Fitness Facilities」に対する追補として出されたもの。勧告では冒頭で、心筋梗塞などで心室細動に陥った人に、即座に除細動を行えば救命率を向上できるため、医師の指示がなくても除細動を行えるAEDが、今や「蘇生の鎖」(Chain of Survival)の一つとなったことを強調した。

 その上で、スポーツ施設を規模や利用者の心疾患リスクで五つのレベルに分類。レベル1(ホテル内のトレーニングルームなど専任スタッフがいない施設)からレベル3(通常のスポーツ施設)には、努力目標としてパブリックアクセスAEDの設置を推奨し、レベル4(運動療法プログラムを実施するスポーツ施設)に対しては、パブリックアクセスAEDの設置を強く推奨した。

 なお、レベル5に相当する、心臓リハビリテーションなど心疾患リスクの高い患者を対象に運動療法を行う施設に対しては、米国では既に除細動器の設置が義務付けられている。

 同勧告ではさらに、心臓発作で利用者が倒れた場合の対応手順を明文化し、こうした状況を想定した非常訓練を少なくとも3カ月に1度は行うよう推奨。心配蘇生法(CPR)の訓練を受けたスタッフが、営業時間中は常駐するようにし、AEDの使用や救急隊の誘導がスムーズに行えるようスタッフを訓練すべきだとしている。

 AEDは、心電図の測定器と除細動器が一体化した装置。心臓発作が疑われる人の体に電極を装着すると、自動的に心電図を測定し、心室細動が起こっていれば除細動スイッチを押すよう知らせる仕組みになっている。米国での価格は3000〜4500ドル(約39万6000〜59万3000円に相当)。

 米国では2000年に施行された連邦法「Public Health Improvement Act」で、公共施設へのパブリックアクセスAEDの設置を義務化。心臓発作が疑われる症状で倒れた人がいた場合、居合わせた第三者がAEDを使い、仮に何らかの障害を負わせてしまったとしても、善意に基づく行為として罪には問われないとする州法「Good Samaritan legislation」も、50州中47州で施行された。昨年4月には米国連邦航空局が、米国内の航空会社に対し、2004年5月までに航空機への除細動器設置を完了するよう勧告している。

 わが国では、AEDを含む除細動器は、原則として医師か救急救命士(医師の指示が必要)しか使用できない。ただし航空機内では、医師などがいない場合に限り、客室乗務員がAEDを使用しても医師法などには抵触しないとの見解を、昨年12月に厚生労働省が示している(関連トピックス参照)。

 AHAとACSMの勧告文のタイトルは、「Automated External Defibrillators in Health/Fitness Facilities」。現在、こちらで全文を閲読できる(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。

■ 関連トピックス ■
◆ 2001.12.25 航空機内での客室乗務員による除細動器の使用、医師法などに抵触せず

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