2002.03.01

テニス肘の治療、ステロイド局注より保存療法の方が長期成績が良好

 上腕骨外側上顆炎(いわゆるテニス肘)の患者を対象とした無作為化試験で、ステロイドの局所注射は、短期的な治療効果は高いが長期的には理学療法や保存療法よりも予後が悪いことがわかった。治療法を選択する際には、治療法ごとの長所・短所をきちんと患者に説明する必要がありそうだ。研究結果は、Lancet誌2月23日号に掲載された。

 テニス肘の治療法には、外科手術を除けば1.ステロイドの局所注射、2.抗炎症薬などの処方で様子を見る保存療法、3.理学療法−−の三つの選択肢があり、オランダでは保存療法が推奨されている。オランダVU大学医療センターのNynke Smidt氏らは、長期的な予後も含めてこの三つの治療法の効果を比較した研究が行われていない点に着目。地域の家庭医の協力を得て比較研究を実施した。

 対象患者は、上腕の外側が痛むなどのテニス肘の症状が、一方の腕だけに6週から6カ月間続いている18〜70歳の男女185人。症状の持続期間(13週未満と13週以上)で調整した後、無作為に3群に分け、家庭医に3通りの治療を行ってもらった。

 具体的には、ステロイド局注群に割り付けられた患者(62人)には、痛みを引き起こすような動きを避けるよう説明した後、治療期間中に最大3回までステロイドを局所注射した。保存療法群(59人)には、同様に痛みを引き起こす動きを避けるよう説明した上で、症状はいずれ軽快すると伝え、必要に応じて鎮痛薬(パラセタモールまたは非ステロイド抗炎症薬(NSAID)のナプロキセン)を処方した。理学療法群(64人)に対しては、パルス状の超音波治療などで痛みを抑えた後、運動療法として手首や前腕のストレッチを指導した。

 研究グループはこうした治療を6週間行った後、治療前と比べた症状の変化を患者に6段階で評価してもらい、「完全に快復」または「かなり改善」と回答したケースを「治療の成功」とした。すると、6週間後の治療成功率は、ステロイド局注群で92%、保存療法群で32%、理学療法群で47%となり、短期的にはステロイド局注群が最も治療成績が良いことがわかった。

 ところが、6週の治療期間が終了すると、ステロイド局注群では症状が再燃するケースが続出。結局、治療開始から52週が過ぎた時点では、ステロイド局注群の治療成功率は69%にまで落ちてしまった。一方、理学療法群では91%、保存療法群では83%の人で治療が成功しており、長期的には保存療法や理学療法の方が治療成功率が高くなることが明らかになった。

 ステロイド局注群で治療の長期成績が悪い点について、研究グループは二つの理由を考察している。一つは、ステロイドの局注が腱を直接傷害するというもの。もう一つは、ステロイドの局注で劇的に痛みが治まるため、患者が「痛みを起こすような動きを避ける」という医師の指導を守れず、腕を使いすぎてしまうというものだ。

 ただし、症状がすぐに取れる点はステロイド局注の大きな長所であり、こうした点を配慮して、研究グループは「治療を選択する際には、各治療法の長所と短所を患者に伝えるべき」と提言している。

 この論文のタイトルは、「Corticosteroid injections, physiotherapy, or a wait-and-see policy for lateral epicondylitis: a randomised controlled trial」。アブストラクトは、こちらまで。

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