2002.02.22

骨折の超音波治療、非観血処置下では治癒日数を短縮

 骨折部位に低出力の超音波を断続的(パルス状)に当てる「超音波骨折治療器」に、治癒日数を64日間短縮する効果があることが、3臨床試験のメタ分析から明らかになった。ただし、骨止め処置など観血的な治療を行っている場合、治癒日数の短縮効果があるかどうかは不明だという。分析結果は、Canadian Medical Association Journal(CMAJ)誌2月19日号に掲載された。

 この分析を行ったのは、カナダMcMaster大学臨床疫学生物統計学部門のJason W. Busse氏ら。Busse氏らは、超音波による骨折治療が広まりつつあるが、効果を検討した臨床試験はいずれも対象患者数が少なく、評価が分かれている点に着目。メドラインなど代表的な医学データベースを用いて網羅的な論文検索を行い、治癒日数を評価項目とした無作為化比較試験についてメタ分析を実施した。

 網羅的な検索では138報の論文が抽出されたが、成人男女を対象とした無作為化試験で、低出力のパルス状超音波を用いた治療群を含み、二重盲検法で効果を調べているという条件に合致したのはわずかに6論文。そこから過去の報告例を再分析した論文1報と、症例数が少なく第2種の過誤(タイプ2エラー、関連があるものをないとしてしまう誤り)を起こしている恐れがある論文2報を除いた3論文についてメタ分析を行った。対象となった論文で検討した骨折部位は脛骨、橈骨遠位端と舟状骨で、症例数は総計158例。

 その結果、超音波治療群では対照群よりも、治癒日数が64日短くなることが判明。平均効果サイズは6.41(95%信頼区間:1.01〜11.81)となった。分析対象の臨床試験は、非観血的な治療を行った患者を対象としたものであり、研究グループは「非観血的な治療を行う場合は、低出力のパルス状超音波による治療は治癒日数を短縮する効果がある」と結論付けた。

 ただし、第2種の過誤があり得るとして分析対象から除いた2報の論文は、いずれも観血的な骨止め処置を行った患者を対象としたもの。両論文とも超音波治療の有無で治癒日数に有意差は出ておらず、第2種の過誤がないと仮定すれば、観血的処置下では治癒日数の短縮が得られない恐れもあるという。研究グループは、この点を検証するために、観血的な処置を行った患者を対象とした、より大規模な臨床試験が必要だと提言している。

 超音波骨折治療器は、米国では1994年、わが国でも1998年から臨床現場で使われており、「難治性骨折超音波治療法」として健康保険の対象となっている(1万2500点、日数に関わらず1患者1回のみ算定)。しかし、対象患者は「観血的手術又は他の治療を行っても治癒しない難治性骨折」に限定されており、まさに今回のメタ分析では有効性がわからなかった患者群に相当する。つまり、この治療法が効く患者には保険適用がなく、効かない恐れがある患者にのみ保険が適用されるという「不整合」があるわけだ。超音波骨折治療は、適用患者の見直しを含む再検討が必要な時期に来たのではないだろうか。

 この論文のタイトルは、「The effect of low-intensity pulsed ultrasound therapy on time to fracture healing: a meta-analysis」。現在、全文をこちらで閲読できる(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。

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