2002.02.18

血清ホモシステイン値とアルツハイマー病の発症、前向き観察研究で強い相関が示唆

 米国の代表的な地域コホート研究である、Framingham研究の参加高齢者を対象とした追跡調査で、血中のホモシステイン値が高い人ではアルツハイマー病を発症するリスクが8年間で2倍近くになることがわかった。年齢やアポリポ蛋白E(アポE)の遺伝子型など、既に知られている危険因子とは、独立の危険因子であることもわかったという。研究結果は、New England Journal of Medicine(NEJM)誌2月14日号に掲載された。

 ホモシステインは、含硫アミノ酸(メチオニン、システイン)の中間代謝物。観察研究や症例対照研究で、心筋梗塞など動脈硬化性疾患との関連が示唆されている、注目の危険因子の一つだ。近年はアルツハイマー病や血管性痴呆との関連も示唆されていたが、前向き研究は報告されていなかった。

 米国Boston大学神経学部門のSudha Seshadri氏らは、Framingham研究の参加者から、第20回調査(1986〜1990年に実施)時に生存しており、痴呆を発症しておらず、血清サンプルが得られた1092人を抽出。その時点での血清ホモシステイン値と、それ以降のアルツハイマー病発症との関連を調べた。追跡期間の中央値は8年(1〜13年)。追跡期間中に111人が痴呆を発症し、うち83人はアルツハイマー病と診断された。

 対象者の平均年齢は76歳(68〜97歳)で、うち女性は667人。血清ホモシステイン値は加齢により上昇するため、研究グループは対象者を5歳ごとにグループ分けし、同じ年齢帯でホモシステイン値が上位4分の1に属する人を「ホモシステイン高値」とした。

 その結果、ホモシステインが調査開始時に高値だった人では、年齢やアポEの遺伝子型、脳卒中の既往など既知の危険因子で補正した後も、追跡期間中に痴呆を発症する確率が1.4倍(95%信頼区間:1.1〜1.9)になることが判明した。特にアルツハイマー病では、この確率が1.8倍(同:1.3〜2.5)となった。アルツハイマー病の発症とホモシステイン値とには直線的な相関があり、ホモシステイン値が5μmol/l上昇すると、アルツハイマー病の発症率が約4割増えることがわかったという。

 血清ホモシステイン値は「介入可能な危険因子」で、食事やサプリメントでビタミンB群(B6、B12、葉酸)を十分に摂取すれば、ホモシステイン値を低下させることができる。ただし、βカロチンと発癌との関連でみられたように、観察研究ではリスクを下げるようにみえた因子が、介入研究でリスクを増やすことがわかったとの例もある。ホモシステイン値に基づく“痴呆予備軍”のスクリーニングや介入は、米国国立加齢研究所(NIA)が実施中の「Alzheimer's Disease Cooperative Study」に組み込まれる介入研究の結果が出てから行うべきだろう。

 この論文のタイトルは、「Plasma Homocysteine as a Risk Factor for Dementia and Alzheimer's Disease」。アブストラクトは、こちらまで。この件に関する米国国立衛生研究所(NIH)のニュース・リリースは、こちらまで。

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